2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい硬化システムを用いたFRP船成形・修復技術の高度化の研究
Project/Area Number |
21360438
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
櫻井 昭男 独立行政法人海上技術安全研究所, 大阪支所, グループ長 (20373417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 正夫 独立行政法人海上技術安全研究所, 大阪支所, 主任研究員 (80399526)
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Keywords | FRP / マイクロカプセル / 硬化剤 / インフュージョン / 補修・修理 |
Research Abstract |
本課題ではマイクロカプセル技術を応用した樹脂硬化システムを開発し、船体の新規成形や補修への適用可能性を検証する。 マイクロカプセル封入硬化剤の製作に関する研究では、アルギン酸ソーダ、PVA等をゲル化剤である塩化カルシウム水溶液に滴下する液中硬化法によるカプセル化実験を行い、液滴の均一係数を制御するための攪拌速度・時間との関係把握に努めた。また、カプセル封入硬化剤の大量生産を可能とするため、逆相分散させ、分散相にゲル化剤を吹き込む方式を検討した結果、メチルセルロースとタンニン酸の脱水縮合反応を利用した膜生成システムを適用し、大豆レシチンを界面活性剤としたMEKPO乳化液によるカプセル化法を開発した。さらに、超音波破砕機を用いたカプセルの破壊制御のための調査を行った。 マイクロカプセル封入硬化剤を用いたFRPの試作では、エポキシ系樹脂によるマイクロカプセル硬化FRPの試作し、加熱成形温度の感受性を混入カプセル量との関係で調査するとともに、アフターキュアー温度との関係を求めた。曲げ強度試験、デュロメータ硬さ試験の実施・解析の結果、カプセル含有率の上昇に伴い硬さは漸減するが、強度の変化は認められないことがわかった。 実船適用の検証では、軽量増量剤の使用についての現行技術基準の調査を行い、FRP船の損傷修理技術を分類して、マイクロカプセル硬化システムが適用できる範囲を検討した。そして、FRP船の外板の破口修理を念頭に置き、RI成形法と組み合わせた手法による作業手順を考慮してカプセル入り樹脂を用いた積層接着試験板を製作し、曲げ剥離試験により十分な強度保持を確認した。また、RI成形で許容されるカプセル粒径の検討と、その粒径まで分散させるための技術の調査により、ホモジナイザーによるカプセル粒径の制御には少なくとも10000rpm、30minが必要で、空気の巻き込みを防ぐことの重要性を把握した。
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