Research Abstract |
酵素触媒(Novozym)を固定床とし,ジメチルエーテル(DME)を添加して,連続的にトリオレインとメタノールのエステル交換反応を行った.その結果,DMEの添加量が多くなれば,反応速度が向上することがわかった.いずれの操作でも反応時間と反応率の関係は1つの曲線で表現できることを明らかにした.さらに,その反応速度モデルも提案した.DMEは生成物にとって貧溶媒になることから,DMEを使わず,エタノール等のアルコールを相溶限界まで添加した反応系も検討した. これまで313.15Kにおけるメタノール+グリセリンのパラメータは文献値を使用してプロセスの計算を行ってきた.データの信頼性を考え,自作の流通型装置を用いてメタノール+グリセリンの気液平衡データの収得を目指した.しかし,安定したデータが得られなかったために静置型装置を再度作製し,313.15Kにおけるメタノール+グリセリン,メタノール+オレイン酸メチルさらにはジメチルエーテル+トリオレインのデータを修得した.その結果,反応系としてはジメチルエーテル,メタノール,トリオレイン,生成系としてはジメチルエーテル,メタノール,グリセリン,オレイン酸メチルの構成2成分のうち,メタノール+オレイン酸メチル,グリセリン+オレイン酸メチル以外については活量係数式のパラメータが明らかとなった. 共溶媒を用いた固定化酵素による連続合成では,副生グリセリンの系外排出が重要なため,熱力学モデルを用いて共溶媒としてアセトンの優位性(相の合一性と粘性)を示しつつ,連続合成を試み,相分離性や反応特性を明らかにした.また,収率向上のための前年度提示した二段反応の最適化を行った. 共溶媒をアセトンとした場合のプロセス計算を行い,その利点と欠点を整理した.また,本研究で開発した技術の優位性について消費エネルギー観点から評価した.
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