2009 Fiscal Year Annual Research Report
核種分離プロセスの高度化を目指した液々向流遠心抽出装置の開発
Project/Area Number |
21360466
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹下 健二 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 准教授 (80282870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木倉 宏成 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (00302985)
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Keywords | 遠心抽出 / 液々向流 / 理論段数 / 核種分離 / 多段分離 / 微粒化 / セシウム / 発熱性核種 |
Research Abstract |
本研究で提案する液々向流型遠心抽出装置は二重円筒構造をしており、その円環部に水相(連続相)と有機相(分散相)が向流で流される。内筒を回転することで水相にTaylor-Couette流れ(Taylor渦)が形成される。一方有機相はTaylor渦の吸い込み位置で内筒表面に送られ、油膜を形成し、内筒のせん断応力により微粒化される。そのため、高い抽出効率が期待され、多段効果を伴った高速抽出が可能となる。本研究では、原子燃料再処理工場で発生する高レベル廃液からの発熱性元素回収のために高速抽出分離を行うことを目的とし、calix[4]arene-bis(tert-octylbenzocrown-6)(BOBCalixC6)、1-(2,2,3,3-tetrafluoropropoxy)-3-(4-sec-butylphenoxy)-2-propanol(Cs-7SB)をイソパラフィン系溶剤であるIsopar Lに溶解したものを用いて発熱性元素(Cs)の連続抽出実験を行った。有効長18cmの小型遠心抽出装置を用いて連続抽出実験を行った。内筒(材質:テフロン)回転数を400rpm以上に設定すると、水相に形成されたTaylor渦の吸い込み位置に有機相が蓄積され、帯状構造を形成した。また、内筒回転数の増加に伴って有機相が微粒化されることが確認され、抽出率が増加した。これは有機相が微粒化したことで二相界面積が増加し、物質移動効率が増加したためと考えられる。内筒回転数1400rpmにおける理論段数は1.5段となり、理論段数1段以上の抽出性能を示した。 次いで、内筒材料を有機相と親和性が高いエポキシ樹脂として同様の連続抽出実験を行った。 内筒回転数を1000rpm以上に設定すると、テフロン内筒での結果と比較して、有機相が微粒化していることが確認され、内筒回転数1400rpmでは有機相の平均粒径が0.62mmから0.36mmと約半分に低下した。これは有機相と親和性の高い材料を内筒に導入したことで、内筒表面に油膜を形成しやすくなり、微粒化が促進されたと考えられる。エポキシ樹脂内筒での内筒回転数1400rpmにおける理論段数は2.2段となり、抽出性能の向上に成功した。 本研究の結果、小型遠心抽出装置内でCsの多段抽出を実現し、Cs高速分離を達成した。
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Research Products
(6 results)