2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21360472
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 正基 国立大学法人東京工業大学, 原子炉工学研究所国際原子力共同研究センター, 研究主幹 (80421527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 祐二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (20354839)
大橋 朗 国立大学法人茨城大学, 理学部, 准教授 (50344833)
池田 泰久 国立大学法人東京工業大学, 原子炉工学研究科, 教授 (40323836)
三村 均 国立大学法人東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10091753)
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Keywords | MIDAA / Tc / Re / 新抽出剤 / 核種分離 / 錯体構造 |
Research Abstract |
放射性の長半減期核種であるTcは水溶液中で酸素酸の陰イオンとなるため、従来原子力分野で利用される抽出剤で効果的に回収できる抽出剤の報告例はない。一方、医学の分野では体内に無理なく取り込まれるTc(Re)錯体の創製が求められている。この2つの課題を解決する新しい配位子(2,2'-メチルイミノビスジアルキルアセトアミド、MIDAA)は窒素、酸素を導入した中心骨格を持ち、強力なTc抽出剤として報告される。この新抽出剤の基礎的な性質を把握した上で、原子力と医学への利用性について探る事を目的とした。 平成22年は、まずMIDAAの一種であり、かつ水溶性のMIDEA(メチルイミノビスジエチルアセトアミド)を用い、この酸解離定数を平均6.919と求めた。これは、強い錯形成剤と言われるアセチルアセトン(8.80)やアミン化合物であるジメチルアミン(10.77)の値よりも高い。21年度に開発したMIDAAの新たな合成法(トシルクロライドを用いて塩素化する方法)は現在、特許串願中である(新規Tc,Re用抽出剤、MIDAAの合成法)。さらにこの方法を用いて、窒素原子に結合するアルキル基長さの異なる化合物の合成に着手した。これにより、抽出反応性についてのアルキル基依存性を見出すことができる。MIDAAとReO_4^-の錯形成時の構造を明確にするため、XAFS、IR測定や理論計算を行った。その結果、HIDAAにプロトンが付与したH^+-MIDAAとReO_4^-の酸素原子が水素結合をするような構造で反応していることが予想された。ReO_4^-内の酸素と水素結合するH^+-MIDAA中のプロトンは現時点で、酸解離で付与したH^+又は窒素原子に結合するメチル基のプロトンのどちらかと思われる。今後は毒性評価、及び生体内での反応性についても検討してゆく方針である。
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Research Products
(5 results)