2009 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー核分裂片照射場でのウラン酸化物の損傷形成モデルの検証
Project/Area Number |
21360474
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
石川 法人 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90354828)
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Keywords | 加速器 / 原子力エネルギー / 格子欠陥 / セラミックス / 放射線 |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の通りである。高エネルギー核分裂片発生に伴うUO_2中の照射損傷メカニズムの検証を目標とする。具体的には加速器を利用したイオンビーム照射実験基盤の整備、UO_2中の基礎的照射損傷データの取得、高エネルギー領域での損傷予測法の構築、高燃焼度領域で問題となるリム組織形成メカニズムの検証を行う。核燃料の損傷評価・予測に必要な損傷形成モデルを提示することを目標とする。 成果の内容は以下のとおりである。UO_2焼結体試料に対して電子的阻止能の異なる2種類の高エネルギーイオン(210MeV Xe^<+14>,100MeV Zr^<+10>)照射を行い、透過型電子顕微鏡を用いてイオンの軌跡に沿って形成される損傷領域(イオントラック)の直径が、それぞれ4.9nm,1.8nmであることがわかった。イオントラック形成に関与する電子系へのエネルギー伝達密度(電子的阻止能)が高い方が、入射イオンーつが形成する損傷領域(イオントラック)の寸法が大きいことが分かった。また、同じ電子的阻止能であっても、電気伝導度の低いCeO_2と比較すると、UO_2の方がより耐照射性が高いことも分かった。ガス原子を注入するための実験装置を整備し、予備的実験として模擬試料に注入実験を行うことが出来た。 UO_2の照射損傷敏感性は、結晶構造により決定されるより、むしろ電気的物性により決定される可能性があることがわかった。また、材料中でのイオントラックの占有率の照射量依存性を記述する関数を構築することができた。今後はその占有率が材料劣化(物性変化)を引き起こす損傷効果を記述する関数系を構築し、実験的にその信頼性を検証する予定である。 意義、重要性は、以下の通りである。高精度で照射損傷予測することは重要であり、本研究によって信頼性のある損傷形成モデルを提示することができれば、核燃料の燃焼損傷予測の観点から意義の高い成果になる。
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Research Products
(2 results)