2010 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー核分裂片照射場でのウラン酸化物の損傷形成モデルの検証
Project/Area Number |
21360474
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
石川 法人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (90354828)
|
Keywords | 加速器 / 原子力エネルギー / 格子欠陥 / セラミックス / 放射線 |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の通りである。高エネルギー核分裂片発生に伴うUO_2中の照射損傷メカニズムの検証を目標とする。具体的には加速器を利用したイオンビーム照射実験基盤の整備、UO_2中の基礎的照射損傷データの取得、高エネルギー領域での損傷予測法の構築、高燃焼度領域で問題となるリム組織形成メカニズムの検証を行う。核燃料の損傷評価・予測に必要な損傷形成モデルを提示することを目標とする。 成果の内容は以下のとおりである。UO_2焼結体試料に対してイオントラックの寸法(入射イオン一つが形成する損傷領域)の電子的阻止能(イオントラック形成に関与する電子系へのエネルギー伝達密度)依存性を解析するに十分なデータを取得した。具体的には、高い電子的阻止能領域のイオントラックデータを取得するために、310MeVAu,150MeVAuをUO_2試料にイオン照射し、透過型電子顕微鏡を用いてイオントラックの直径を導出した。電子的阻止能に対して、イオントラック寸法が単調増加することが明らかになったとともに、いわゆるthermal spike modelから予測される挙動に従うことが分った。 意義、重要性は、以下の通りである。高精度で照射損傷予測することは重要であり、本研究によって信頼性のある損傷形成モデルを提示することができれば、核燃料の燃焼損傷予測の観点から意義の高い成果になる。今年度の成果により、UO_2中においてイオン一つ一つが形成する損傷領域(イオントラック)の寸法が、電子的阻止能の関数として予測することが可能になった。
|