2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン伝導性ペロブスカイトを電解質とした水蒸気電解に関する研究
Project/Area Number |
21360481
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 広重 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (70283413)
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Keywords | 水蒸気電解 / プロトン伝導性酸化物 / 水素製造 / 水素エネルギー / 混合伝導体 / ビーズミル / 混合伝導体 / ペロブスカイト |
Research Abstract |
本研究は、プロトン伝導性酸化物を電解質として用い、600℃程度の中温領域を作動温度とする水蒸気電解による水素製造の手法を検討している。適した電解質としてSr(Zr,Ce)O3系プロトン伝導体を選択し、アノードに(Sm,Sr)CoO3系酸化物、カソードにNiを用い、高効率に水蒸気電解を行えることをこれまでに示した。 今年度は、まず、カソードに中間層としてセリア系酸化物を挿入し、電極性能を活性化できることを明らかにした。また、カソードの電極特性の酸素分圧が高いほど活性化することを明らかにした。カソード支持型のチューブセルを作製し、その作動を確かめた。チューブセルの材質としてはNiOとSr(Zr,Ce)O3を体積比で1:1で混合したときが一番性能が高かった。アノードに用いている(Sm,Sr)CoO3に関して、構成元素のコモン化を検討したが、コバルトに比べて豊富な鉄やマンガンを電極に含ませた場合には、電解質と反応することで電解質側のプロトン伝導性が著しく減少することが示唆された。この傾向はコバルトの場合には小さく、したがってコバルトは電極構成元素としては必須であるという結論になった。 一方、今後の実用化を考える上で、プロトン伝導体の高い焼成温度(現状は1600~1700度)が問題となっていたがビーズミル法により、プロトン伝導性ペロブスカイトの微細化に成功した。焼成温度の著しい低減が期待できる。 以上、本研究ではプロトン伝導体を用いた中温水蒸気電解について検討し、その実用化を見通せる技術的な知見が得られたと考えられる。
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Research Products
(9 results)