2011 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動に対する高山植物群集動態の定量化とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
21370005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (30221930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 正美 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (00347767)
星野 仏方 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (80438366)
矢吹 哲夫 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (50275484)
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Keywords | 気候変動 / 生物圏現象 / リモートセンシング / 高山植物 / 生態学 / 高山生態系 / 植生変動 / 土壌乾燥化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、雪解けの早期に伴う土壌乾燥化は高山植物の生理機能を変化させ、植物間の競合関係や個体群動態に影響をもたらし、急速な高山植生変化を引き起こしている現状を明らかにすることである。最終年にあたる平成23年度は、特に以下の研究について重点的に行った。 (1)高山植物の個体群動態予測:ササの分布拡大と高山植物群集への侵入により既存の高山植物群集の種多様性がどのように変化していくのかについて、引き続き継続調査を行ない、ササが他の高山植物へもたらす生態学的影響を解析した。また、マイクロサテライト遺伝マーカーを用いてササのクローン構造の解析を行った。さらに、ハクサンイチゲ個体群に設置した永久調査区で個体群センサスを継続し、個体群動態モデルによる個体群衰退メカニズムについての解析を行った。 (2)植生変化と広域スケールの環境変化の定量化手法の開発:30年前に撮影された航空写真と最近計測したリモートセンシングデータをベースに、広域植生変化の解析手法の開発を行った。そして、過去30年間の植生チシマザサとハイマツの分布変化についての広域的な解析を行った。また、衛星データを利用して、広城スケールでの土壌水分の季節変動を定量化する手法の開発を行った。現地での土壌水分計測を広域的に行い、衛星データによる土壌水分量の推定との対応関係について検討を行った。 (3)急速な植生変化が生じる状況についての数理モデルによる予測:高山植生からチシマザサへの急激な植生変化が生じるメカニズムと、植生変化が安定状態として持続するレジームシフトが起こりうる状況を、数理モデルにより解析した。得られた予測を現地データと対応させて、モデルの検証を行った。
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