2010 Fiscal Year Annual Research Report
グッピーの色覚多型の維持機構の解明:雄体色と雌選好性多型と関連づけて
Project/Area Number |
21370007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河田 雅圭 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90204734)
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Keywords | 多型維持 / 性選択 / グッピー / 自然撰択 / オプシン遺伝子 |
Research Abstract |
TrinidadとTobagoの野外13集団においては、LWS遺伝子の4遺伝子座、SWS1,RH1遺伝子座、比較参照遺伝子として、核DNAの8領域の配列を決定した。これらの配列データを用いて、Tajima's Dを計算した。さらに、参照配列を元に、コアレッセントシミュレーションを行い、計算されたTajima's Dが参照配列に比べて、有意に正あるいは負に偏っているかを調べた。その結果、Pitch LakeのLWS-Aでは、有意に負の値を示し、近年自然選択によって広がったと考えられる遺伝子があることが示された。また、LY集団におけるLWS-C,CO集団におけるSWS-Aにおいて、Dの値が有意に正の値を示し、平衡選択が働いていることが示唆された。さらに、LWS遺伝子のFSTの値は、参照DNAに比べて有意に大きく、自然選択によってDivergent Selectionが働いている可能性が示唆された。これらの結果から、平衡選択と集団ごとに異なるDivergent SelectionによってLWS遺伝子の異なる配列が維持されている可能性が示された。 さらに、LWA-AおよびBの配列の異なる個体を用いてオプトモーター行動実験を行い、有意に光感受性に違いがあることが示された。また、LWS,SWS,RHの遺伝子座が網膜のどの位置で発現しているかどうかを調べるためのin situ hybridizationの実験を一部行い、LWSは網膜全体で発現しているのに対し、SWSでは、腹側の発現が見られないことがわかった。
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