2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィル代謝研究の基盤整備と新展開に向けた総合的研究
Project/Area Number |
21370014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 歩 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10197402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 亮一 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (20311516)
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Keywords | クロロフィル / 代謝 / 酵素 / 常緑 / 細胞死 |
Research Abstract |
クロロフィル代謝は、50年以上にわたる研究によってその大まかな経路が決定され、さらにそれを担う多くの酵素遺伝子が同定された。しかし、幾つかの酵素がまだ同定されておらず、さらに代謝経路に関しても、未解明な点が残されている。一方、最近の研究によって、クロロフィル代謝は多様な生理現象と深く関わっていることが明らかになり、さらに農学的応用の可能性も指摘されてきた。このような点を背景に、本研究は、(1)クロロフィル代謝に関わる全遺伝子の同定、(2)代謝経路の確定、(3)調節機構の解明、(4)クロロフィル代謝の多機能の解明、(5)応用研究への展開を目指したものである。 本年度は、クロロフィル代謝の応用展開に焦点を当てて研究を行った。クロロフィルb合成に関与するクロロフィリドaオキシゲナーゼ(CAO)は3つのドメイン(A-,B-,C-ドメイン)からなっている。A-ドメインはCAOの活性を負に制御するため、A-ドメインを削除したCAOを導入したシロイヌナズナ(BC株)はクロロフィルbの合成が促進され、集光装置内のクロロフィルbの分布も大きく変わる。このBC株は、強光に弱く光傷害を受けやすいが、一方で、通常の光条件では老化の遅延が見られた。BC株では、光合成関連のタンパク質(RuBPaseやLHCII)の発現が持続し、老化関連のタンパク質(NYC1,SAG12)の発現が抑制された。さらに、転写因子の発現を網羅的に解析したところ、老化関連転写因子の発現が抑制されていた。このことから、BC株では、光化学系が改変されたことにより、転写のリプログラミングが起こり、老化が遅延したと考えられる。これらの成果は、葉緑体の新しい機能を示すと同時に、光合成の農学的応用につながると期待される。
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Research Products
(20 results)
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[Presentation] 緑色硫黄光合成細菌から新規に単離したMGDG合成酵素はシロイヌナズナMGDG合成酵素の変異を部分的に相補する2010
Author(s)
増田真二, 原田二朗, 横野牧生, 下嶋美恵, 室伏和博, 湯澤優一, 村川雅人, 近藤真紀, 西村幹夫, 大岡宏造, 田中歩, 民秋均, 太田啓之
Organizer
第51回日本植物生理学会年会
Place of Presentation
熊本大学、熊本
Year and Date
2010-03-18
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