2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21370015
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 寛 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (60222113)
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Keywords | Cyanidioschyzon / organelle / DNA replication / transcription / light / cell cycle / proteasome / tetrapyrrole |
Research Abstract |
(1)光によるDNA複製の活性化:これまでの解析で、光シグナルの受容は葉緑体における光合成電子伝達系に依存しておこり、このシグナルがMAPキナーゼカスケードを通じて下流に伝達されること。3種あるMAPKのうち、MAPK2とMAPK3がODR開始期に増加すること。遺伝子破壊実験によりMAPK3のみが生育に必須であることから、MAPK3がODR開始に関わるキナーゼである可能性が高いことを明らかにした。一方で、ODRの開始にはCDK(CDKB/サイクリン4複合体と想定)の活性化が必要であり、この下流に細胞質側から葉緑体・ミトコンドリア内のDNA複製の誘導が起こる。MAPKはアニソマイシンにより、上流のMAPKKによるリン酸化を介さずに活性化される。暗所で細胞にアニソマイシンを作用させてMAPKを活性化してもODRは開始しない。しかし、ここにヘムを共存させるとODRが開始した。シゾンにおいてヘムはミトコンドリアで合成されることから、ヘムが関与することにより、葉緑体の状態のみならずミトコンドリアの状態がモニターされてODR誘導に関わることが考えられる。本年度の研究ではこのように、光からODRに至るシグナル伝達系の概略のモデル化に成功した。 (2)光による核転写活性化暗所の細胞に光を照射すると、大多数の核遺伝子の活性化が起こる。このようなゲノムワイドな制御の分子機構を探るため、植物での光応答に関わるDET1遺伝子のシゾンホモログについて遺伝子破壊株を取得した。野生型と比較して、暗所における葉緑体mRNA群の増加が観察されたが、現在までに定性的に明暗で恒常的に発現する遺伝子は見出されず、更なる解析が必要な状況にある。一方、明暗条件と相関して増減するヒストン修飾について検索を行い、H3K9部位のアセチル化が暗シフトで増加することを見出した。さらに解析を進めた結果、この修飾は暗条件ではなく、暗条件で誘導される分裂期に蓄積していることが明らかとなった。現在、この修飾による転写活性化等につき解析を進めている。
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Research Products
(19 results)