2011 Fiscal Year Annual Research Report
レスポンスレギュレーターARR1によるサイトカイニンシグナル伝達機構
Project/Area Number |
21370021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青山 卓史 京都大学, 化学研究所, 教授 (80202498)
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Keywords | サイトカイニン / オーキシン / 転写誘導 / 標的遺伝子 / 細胞増殖 / 細胞分化 |
Research Abstract |
サイトカイニンは、シュート形成の促進、黄化の遅延、葉緑体の分化・増殖など、多岐にわたる植物固有の現象に関わる植物ホルモンである。サイトカイニンは細胞膜上の受容体Hisキナーゼによって感知された後、そのシグナルが2段階のHis-Aspリン酸リレーを介してARR1を含む転写因子型レズポンスレギュレーター(type-B ARR)へと伝わり、その結果様々な分子機能をコードする初発応答遺伝子が転写活性化される。これまでのARR1の転写活性化能誘導系を用いた解析などから、サイトカイニン初発応答遺伝子の大半のものがARR1の認識の対象であることが示されている。本研究では、ARR1融合タンパク質に対する染色体免疫共沈解析系(ChIP解析系)によりARR1が上流領域に結合する遺伝子を同定し、ARR1標的遺伝子の全容を解明しようと試みた。また、ARR1を含むtypβ-B ARRのシグナル受容によって引き起こされる分子機能の変化について、ARR1の標的DNAに対する結合がシグナルに依存するのか、もしくは転写活性化能のみがシグナル依存性なのかなどを明らかにしようとした。 前年度までに改良を行なったARR1-YFP融合タンパク質発現系を用いたChIP解析において、ARR1-YFPがARR1の標的遺伝子であるARR6のプロモーター領域に結合することが確認された。また、この結合は植物体へのベンジルアデニン(BA)処理により強められることが判った。この結果により、type-B ARRの標的DNAに対する結合がシグナルに応答することが初めて示された。さらに、これまで標的である可能性が示唆されていたアクチンなどのハウスキーピング遺伝子のプロモーター領域にもARR1が結合するという結果を得た。 サイトカイニンシグナル応答を細胞レベルでモニターできるレポーターシステム(TCS6-nYFP)とオーキシンシグナル応答レポーターシステム(DR5-nTdTomato)の両方を形質転換植物に導入することにより、サイトカイニンシグナル応答とオーキシンシグナル応答を同時リアルタイムでに観察できる系を構築した。
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Research Products
(8 results)