2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21370022
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 陽介 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90183855)
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Keywords | ジベレリン / 転写調節因子 / 信号伝達 / キナーゼ / フィードバック |
Research Abstract |
ジベレリン(GA)は植物の伸長成長に顕著な促進作用を示す植物ホルモンである。本研究の目的はGAの信号伝達系がいかにして、新たな遺伝子発現の変化を引き起こすかを解明することにある。GAの信号伝達では核内タンパク質DELLAのGA依存的分解が引き金と考えられている。GA内生量が低くい時、DELLAは転写因子PIFなどと結合し、その機能を抑制している。GA刺激を受けるとDELLAの分解により、PIFなどの機能発現によりGA生理応答が顕れるというモデルが支持されている。しかしPIFがフィトクロム依存的に分解される明条件においてもGAは明確な伸長成長を引き起こすので、PIF以外に、より重要な未知のDELLAの標的タンパク質が存在しているはずである。我々はDELLAと相互作用するZnフィンガー型転写因子GAF1を新たに単離した。GAF1を過剰に発現する形質転換体は、野生型植物に比べて顕著に背丈が高くGAを投与されたかのような形質を示し、GA合成阻害剤に対する抵抗性を示した。BiFC法による解析の結果、GAF1とDELLAの植物細胞内における相互作用が確認された。これらの結果は、GAF1はGA信号伝達の重要な因子であることを示唆している。DELLAは明確なDNA結合モチーフをもたないが、いくつかのGA関連遺伝子と結合していることが報告されている。DELLAはDNA結合タンパク質を介して遺伝子の調節領域に結合すると予想される。そこでGAF1とDELLAの複合体が遺伝子発現に及ぼす影響について解析した。GA生合成酵素遺伝子の転写はGAF1単独またはDELLA単独ではほとんど影響を受けないが、DELLAとGAF1の共存により顕著に転写が促進された。DELLAはPIFなどを抑制するだけでなく、転写のコアクティベーターとしての機能を有していると考えられる。
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