2009 Fiscal Year Annual Research Report
単子葉植物におけるシスゼアチンの代謝システムと生理機能の解明
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21370023
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
榊原 均 The Institute of Physical and Chemical Research, 生産機能研究グループ, グループディレクター (20242852)
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Keywords | イネ / サイトカイニン / 配糖化 / 受容体 / 生長制御 |
Research Abstract |
1.安定同位体標識トレーサー法を用いたcZ代謝システムの特徴付け 安定同位体ラベルしたtZRを合成し、イネの根から吸収させ、その後の代謝変換を質量分析計を用いて解析したところ、cZ型分子種への有意な取り込みは検出されなかった。つまりtZ→cZへの変換経路はイネに存在しないかもしくは極めて小さいものであることが明らかとなった。 2.cZ特異的な配糖化酵素cZOGT遺伝子の特徴付けと過剰発現体、RNAi体の解析 0-グルコシル化酵素の候補(0s04g0556500,0s04g0556600,0s04g0565400)の基質特異性を解析したところ、0s04g0565400はtZ,cZに対し同程度のKm値とVmaxを持つのに対し0s04g0556500,0s04g0556600はtZを基質とせず、さらにcZRに対しより高い親和性を示した。これまで配糖化は活性型つまり塩基型に対してのみ起こると考えられてきたが、その認識を覆す結果を得ることができた。 0s04g0556500,0s0490556600の過剰発現イネは地上部が矮化した。詳細に解析したところ葉鞘と葉身ともに対照に比べ短くなり、その原因の少なくとも一部は細胞長の減少にあった。cZ代謝を改変することで顕著な表現型が見られたことは、cZ配糖化がイネの生長制御に重要な役割を果たしていることを示唆するものである。一方RNAi株については発現抑制効果が十分でなかったこともあり、有意な表現型は観察されなかった。 3.イネのサイトカイニン受容体遺伝子(0sHK)のリガンド特異性の解析 0sHK6について出芽酵母s1n1変異体のアッセイ系を用いサイトカイニン分子種に対する応答性の違いを解析した。その結果、0sHK6はiPに対し最も高い反応を示したものの、tZ,cZに対してほぼ同等の応答性を示した。この知見はイネにおいてcZは活性型サイトカイニンとして機能しうるというこれまでの結果を支持している。
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Research Products
(7 results)