2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞はどのようにして中心体なしで紡錘体を作るのか?
Project/Area Number |
21370026
|
Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
村田 隆 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 准教授 (00242024)
|
Keywords | 微小管 / 紡錘体 / 隔膜形成体 |
Research Abstract |
中心体はほとんどの真核細胞に見られる細胞内小器官で、細胞分裂においては紡錘体の形成に働く。花の咲く植物(顕花植物)は進化の過程で中心体を失ったため、顕花植物の細胞がどのようにして紡錘体を形作るのかは大きな謎である。私は顕花植物の微小管が枝分かれにより生じることを示し、顕花植物の紡錘体は微小管の枝分かれの結果により構築される仮説を提唱した。本研究計画では、この仮説を検証する。また、紡錘体同様の構造を持つ植物独自の構造体である隔膜形成体でも同様の検証を行う。 紡錘体、核膜形成体の微小管の密度は非常に高いため、通常の顕微鏡観察法では微小管1本1本の挙動を追跡することはできない。そこで、まず第一に、微小管の端を蛍光タンパク質で標識した細胞を作り、微小管の起点と伸長を可視化する。当初研究計画においては、微小管のプラス端、マイナス端をそれぞれ標識する予定であった。しかしながら、マイナス端の標識ができなかったため、微小管全体とプラス端を標識する方針に切り換えた。細胞周囲の溶液を交換しながら細胞を連続観察するシステムを構築し、微小管阻害剤溶液により微小管を部分的に破壊した後の再生の様子を観察した。隔膜形成体においては、微小管から微小管が伸長する様子を明瞭に捉えることができた。紡錘体における微小管再生は現在解析中である。 個々の微小管の挙動が見えない問題の第二の解決法として、本研究課題において新たに開発した細胞深部のスペックル顕微鏡法を用いた。スペックル顕微鏡法は見たい構造を蛍光標識タンパク質でごく低密度に標識し、標識間隔が顕微鏡の解像度より大きくなることを利用して分子の動きを見る方法である。隔膜形成体においては極方向から赤道面に向かって配列する微小管と斜めに伸長する微小管の2種類の異なる動きが検出できたが、紡錘体においては、赤道面に向かって配列する微小管の動きしか検出できなかった。
|
Research Products
(2 results)