2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハプト・クリプト藻類を含む新奇巨大生物群の提唱とクロムアルベオラータ仮説の検証
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21370031
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲垣 祐司 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (50387958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 健一郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (30282198)
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Keywords | 真核生物系統 / 葉緑体 / クロムアルベオラータ仮説 / 遺伝子水平転移 / 2次共生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ハプト+クリプト生物群に含まれる可能性のある捕食性メンバーを大規模発現遺伝子(EST)解析に供し、その配列情報解析に基づき、(A)ハプト+クリプト生物群の多様性とメンバー間の系統関係、(B)ハプト+クリプト生物群における光合成能力の進化、(C)ハプト+クリプト生物群の系統学的位置を確定することを目的としている。平成21年度には以下の作業を行った。 1.ハプト+クリプト生物群捕食性メンバー、新奇捕食性鞭毛虫YPF602株、ゴニオモナス類Goniomona sp.を大量培養し、total RNAサンプル各1mg程度を調製した。このRNAサンプルをもとに、次世代シークエンサーを用いて効率よくシークエンスを行うためのcDNAライブラリー作成を完了した。 2.YPF602株の電子顕微鏡観察を行い、細胞内微細構造を詳細に観察した。微細構造観察では、YPF602株テロネマ類、クリプト藻類、緑藻類と共通した形質が同定された。またYPF602株から分子系統解析マーカーとして小サブユニットリボソームRNA、大サブユニットリボソームRNA、アクチン、αチューブリン、βチューブリン、90KDa熱ショックタンパク質、翻訳伸長因子2の配列を決定した。これらの配列を用いた分子系統解析では、YPF602株は一次植物類、あるいはハプト+クリプト生物群に含まれる可能性があることが分かった。以上の結果は正式な記載論文として纏められ、Protist誌に掲載が決定した。 3.テロネマ類Telonemaと有中心粒太陽虫類Raphidiophrysは、2009年にGenome Biol Evol誌に掲載された我々の論文により、ハプト+クリプト生物群に含まれる可能性が指摘された。今年度はGenBankデータベースに公開されているTelonema、Raphidiophrys ESTデータ中に葉緑体関連遺伝子候補の探索を始めた。
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