2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハプト・クリプト藻類を含む新奇巨大生物群の提唱とクロムアルベオラータ仮説の検証
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21370031
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲垣 祐司 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50387958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 健一郎 筑波大学, 生命環境系, 教授 (30282198)
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Keywords | 真核生物系統 / 葉緑体 / クロムアルベオラータ仮説 / 遺伝子水平転移 / 2次共生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ハプト+クリプト生物群に含まれる可能性のある捕食性メンバーを大規模発現遺伝子(EST)解析に供し、その配列情報解析に基づき、(A)ハプト+クリプト生物群の多様性とメンバー間の系統関係、(B)ハプト+クリプト生物群における光合成能力の進化、(C)ハプト+クリプト生物群の系統学的位置を確定することを目的としている。平成23年度には以下の作業を行った。 1.新奇捕食性鞭毛虫Palpitomonas bilix(YPF602株)とゴニオモナス類Ggoniomona sp.からの網羅的発現遺伝子(Expressed sequence tag or EST)データを加え準備した161遺伝子配列データセットの整備を行った。単一遺伝子データを系統解析し、系統的に離れた生物から水平的に伝播した可能性のある配列等を検出した場合当該配列を削除し、データセットから系統解析において「ノイズ」となる可能性の配列を取り除いた。 2.ゴニオモナス類Goniomona sp.のESTデータ中で、配列相同性検索結果に基づき選定された葉緑体関連遺伝子候補を分子系統解析等を用いたより慎重な検討を行った。残念ながらいずれのタンパク質も葉緑体関連タンパク質をコードしている確証が得られなかった。今回のGoniomona ESTデータには葉緑体関連遺伝子の転写産物はないと結論せざるを得ない。 3.カナダの共同研究やより提供されたカタブレファリス類Roombia sp.を培養し、RNAサンプルを精製、EST用cDNAライブラリーを作成した。さらにこのライブラリーをilluminaシークエンスに供し、約2億リードの発現遺伝子配列と、これらの塩基配列データから生成された約36万コンティグを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の交付申請書に記載した「研究目的」の3項目、(1)パイロシークエンスデータの整理と大規模系統解析の準備、(2)Gonimonas葉緑体関連タンパク質の解析、(3)Roombia sp.の網羅的発現遺伝子解析とも目標を達成したので、研究は計画通りに進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は最終年度であり、Palpitomonas(YPF602株)、Gonimona sp.、Roombia sp.のESTデータに基づき最終的な大規模分子系統解析を行う。このため、筑波大学計算科学研究センターのT2Kスーパーコンピューターの学際共同利用研究の申請を行い、スパコンの使用を許可された。 今のところ検討すべき問題点はない。
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