2009 Fiscal Year Annual Research Report
X線結晶構造解析による核酸塩基-陽イオン共輸送体の輸送機構の解明
Project/Area Number |
21370043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島村 達郎 Kyoto University, 医学研究科, 研究員 (90391979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 充典 京都大学, 医学研究科, 研究員 (00380527)
小林 拓也 京都大学, 医学研究科, 講師 (20311730)
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Keywords | X線結晶構造解 / 輸送体 / ヒダントイン / Mhp1 / トランスポーター / 交互アクセスモデル |
Research Abstract |
輸送体は、肝臓、腎臓、脳、小腸、腫瘍など、種々の組織に分布し、栄養素、イオン、薬剤、毒物等を基質として膜を隔てた選択的な物質輸送を行い、生命維持に必須の役割を果たしている。そのため、多くの薬剤の標的となっているが、効率的な薬剤開発には、輸送体の輸送機構の解明が必須である。輸送体は、基質結合部位が膜の両側に対して交互に開閉する交互アクセスモデルにより物質の輸送を行う。ATP等のエネルギーを使って輸送を行う一次性能動輸送体に関してはその構造的な研究も進んできているが、膜を隔てたイオンの濃度勾配に共役させて輸送を行う二次性能動輸送体に関しては交互アクセスモデルの分子機構の理解は遅れていた。細菌由来のMhp1は、細胞内外のNaイオンの濃度勾配エネルギーを利用してアミノ酸の誘導体であるヒダントインを輸送する二次性能動輸送体である。我々は既に、Mhp1について、細胞外から基質を取り込むために外向きに開いた状態と、基質を結合して閉じた状態の構造を決定していたので、本年度は、基質を細胞内に放出して内側に開いた状態の構造を決定することを目標とし研究を行った。結晶化条件や精製条件を詳細に検討した結果、界面活性剤にノニルマルトシドを用いて4度で結晶化を行うことで、Mhp1の内向き状態の結晶を得ることに成功し、その構造を3.8Aの分解能で決定することに成功した。これにより二次性能動輸送体としては初めて、交互アクセスモデルにおける主要な三種の基本状態の構造情報を一種の輸送体から利用できるようになり、二次性能動輸送体の詳細な輸送機構が考察できるようになった。
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Research Products
(9 results)