2009 Fiscal Year Annual Research Report
Ndxファミリー酵素の加水分解反応に共役するプロトン移動のその場観察
Project/Area Number |
21370049
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
神谷 信夫 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 教授 (60152865)
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Keywords | プロトン移動 / 中性子回折 / 酵素反応のその場観察 / ADPRase / Ndxファミリー |
Research Abstract |
ADPRaseは,2価金属イオンの存在下,ADPRをAMPとリボース5'リン酸に加水分解する.我々はこれまでの研究から,ADPRaseとADPRの複合体結晶に2価金属イオンをソーキングして反応を開始させ,SPring-8の超高輝度X線を利用して加水分解反応をその場観察することに成功した.その結果ADPRaseでは,その加水分解反応と同期して,プロトンを酵素内部で一方向へ運搬するプロトン移動経路が形成されているとする仮説を提案した.本申請では,プロトンの追跡に適した中性子回折による反応のその場観察を行って,この仮説を実証することを目的とする.本年度は,(1) 中性子回折で用いる大型結晶を作成するには大量のADPRase試料が必要となるため,IPTG発現誘導による収量の増大を試みた.その結果ADPRaseの発現系では,lacオペロンのリプレッサーの作用が弱く,IPTGなしでも既にADPRaseは大量に発現しており,逆にIPTG誘導による発現量の増大は望めないことが判明した.試料の大量調製には,大腸菌培養のためのインキュベータを増設して,試料調製のサイクルを増やすことで対応することとした.(2) 従来結晶化法として用いてきたハンギングドロップ法をシッティングドロップ法に切り替え,従来と比べ10倍の体積をもつ結晶を得ることに成功した.中性子回折にはさらに10倍の体積の結晶が必要となるため,次年度も結晶の大型化に向けた条件検討を継続する.(3) 上記の結晶に対してADPRと2価金属イオンのソーキング条件を最適化し,SPring-8において,分解能1Aを上回る高分解能X線回折強度データを得ることができた.構造解析の結果,従来と比べて10倍大きい結晶に対しても,従来と同様に反応を追跡できることが確認された.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Crystal structure of a homolog of mammalian serine racemase from Schizosaccharomyces pombe2009
Author(s)
Goto, M., Yamauchi, T., Miyahara, I., Kamiya, N., Yoshimura, T., Hihara, H., Kurihara, T., Hirotsu, K., Esaki, N.
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Journal Title
J.Biol.Chem. 284
Pages: 25944-25952
Peer Reviewed
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