2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト小胞体品質管理における細胞内レクチンの分子認識と超分子形成の構造基盤の解明
Project/Area Number |
21370050
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Research Institution | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
Principal Investigator |
加藤 晃一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (20211849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 拓実 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (60522430)
神谷 由紀子 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特任助教 (00527947)
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Keywords | 品質管理 / 糖鎖 / レクチン / NMR / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
(1)NMRを利用した糖鎖認識の精密解析 タンパク質の品質管理に関わる高マンノース型糖鎖を対象に、その立体構造情報の収集を行った。平成22年度までに確立した手法により安定同位体標識を施した高マンノース型糖鎖M8Bを用いて超高磁場NMR計測を行い、原子間距離などの立体構造情報を取得することに成功した。一方、常磁性タグを導入した高マンノース型糖鎖M9を用いて、緩和時間解析による動的コンフォメーションの評価を行った。また、常磁性タグを付加したジアセチルキトビオースと細胞質レクチンFbs1とのNMR相互作用解析を実施した。さらに、常磁性効果を利用したNMR解析法と分子動力学計算を組み合わせた糖鎖の動的立体構造研究手法を確立した。 (2)カーゴレセプターの作動メカニズムの解明 カーゴレセプターERGIC-53がMCFD2と協同して積み荷タンパク質の細胞内輸送を司る仕組みの理解を目的として構造生物学研究を遂行した。NMR解析の結果、ERGIC-53と複合体を形成したMCFD2がEFハンドタンパク質に典型的な様式で血液凝固第VIII因子のペプチドセグメントと相互作用することを見出した。またERGIC-53/MCFD2複合体について新たに3つの結晶系におけるX線結晶構造解析を実施し、積み荷タンパク質との結合に関与することが予想されるMCFD2の立体構造の変動を捉えることに成功した。 小胞体関連分解に関与する脱糖鎖反応酵素PNGaseのPUBドメインの機能解明を目指し、プロテアソーム基質運搬因子HR23のユビキチン様ドメイン(UBL)との相互作用について、フロンタルアフィニティークロマトグラフィーおよびNMR法を用いて解析を行った。その結果、PNGaseのPUBドメインが、ユビキチンおよびHR23のUBLと静電相互作用により結合することが明らかとなり、HR23の活性化因子として機能していることが示唆された。
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