2009 Fiscal Year Annual Research Report
真核細胞内の小胞内部におけるイオン環境制御の生理的役割とその分子的基盤
Project/Area Number |
21370055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金澤 浩 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50116448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永森 収志 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90467572)
三井 慶治 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60379279)
松下 昌史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50403100)
大垣 隆一 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20467525)
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Keywords | Na+/H+交換輸送蛋白質 / オルガネラ局在 / pH調節 / 細胞内小胞輸送機構 / 蛋白質の局在化機構 / 細胞内小胞pH測定 / 細胞極性形成 / 膜イオン輸送 |
Research Abstract |
本研究では、細胞内膜型のNHE6からNHE9までの(1)生理的役割の解明、(2)制御の分子機構解明を研究の当初の2つの大きな達成目標としている。 今年度〈21-22年度7月〉特にNHE6に関して大きな進展があり、成果を論文として発表できた。すなわちNHE6の生理的役割として、肝培養細胞(HepG2)において細胞内小胞輸送にからむ小胞内のpH維持を通してアピカル膜の形成、および安定化に寄与することが解明できた。とりわけ、NHE6の発現抑制または過剰発現のいずれの場合も小胞内のpHが有為に変化することを示せたことは、大きな成果である。 さらにこのpH変化に呼応してアピカル面での膜脂質の安定性が失われることを示した。一方、HeLa細胞ではトランスフェリンのエンドサイトーシスにおいてNHE6が重要な役割を果たすことを明らかに出来た(論文準備中)。これらの新発見により、当初計画していた神経細胞における極性形成においてもNHE6の役割について来年度以降解明の糸口を期待できる。こうした研究成果は、本研究の最終目標達成に大きな貢献をするものである。また、NHE7については細胞内でTGNに局在する際に必須な分子内構造をみいだし(論文発表)、研究の柱である機能制御について輸送活性以外に細胞内の局在における制御も重要であることを示せた。 NHE6については遺伝子欠失細胞を確立し引き続きその性質を解析している。HepG2細胞においてNHE6の遺伝子発現を抑制または過剰発現し、細胞極性形成におよぼす影響についてオランダの研究グループとさらに共同研究をすすめている。21年度は、NHE6の研究に大きく注力することで、NHE7-9の研究が当初より遅れることになった(研究費の繰り越し理由)が、NHE7に関する論文発表にこぎつけ21年度計画は達成できたと考えている。
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Research Products
(17 results)