2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21370057
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
表 弘志 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10273707)
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Keywords | 小胞型グルタミン酸トランスポーター / VGLUT / 多機能性 / SLC17 / VNUT / VEAT / NPT / リン酸輸送 |
Research Abstract |
トランスポーターは輸送を通して生命活動に深く関わっている。通常の酵素が物質の変換を触媒するのに対して、トランスポーターは膜を介した物質の移動を司っている。本研究ではSLC17型トランスポーターを材料とし、分子内に複数のトランスポーターマシンを持つ多機能性トランスポーターのメカニズムに迫る事を目的としている。 VGLUTは膜電位を駆動力とするグルタミン酸輸送とNa+勾配を駆動力とするリン酸輸送活性という全く異なる2つの活性を持っている。驚くべき事に、この2つの輸送活性は基質、駆動力、輸送の方向、基質結合部位、必須残基、阻害剤、活性制御機構が全く異なっており、完全に独立した2つのトランスポートマシーンが分子内に共存している。 この研究ではSLC17型トランスポーターの多機能性に焦点をあてて、どのようにして異なるトランスポートマシーンが単一の分子内に存在し得るのか、その分子機構を探る。具体的にはSLC17型トランスポーター内のそれぞれの輸送活性について(1) 基質特異性、(2) 輸送に関わる残基、(3) 活性調節機構、(4) トランスポートマシーン間の相互関係を反応速度論と変異導入によって明らかにする。これにより、多機能性トランスポーターのメカニズムとSLC17型トランスポーターの全体像を明らかにする。 これまでに、SLC17型トランスポーターのうち、NPT1 (SLCi7Al)、VGLUT2 (SL17A6)、VNUT (SLC17A9)、VEAT (SLCI7A5)の精製・再構成系を構築した。NPTlの輸送活性を速度論的に解析したところ、このトランスポーターも他のSLC17ファミリーと同様に、膜電位を駆動力とする有機アニオン輸送活性とNa+勾配を駆動力とするリン酸輸送活性を持っている事が明らかになった。 リン酸輸送に関わる残基を同定するために、VGLUTの保存性アミノ酸残基に変異を導入し、変異型cDNAを持っバキュロウィルスを作製した。現在変異型のVGLUTを精製し、その性状を解析している。
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