2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21370059
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
顧 建国 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (40260369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 友彦 東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (40433510)
伊左治 知弥 東北薬科大学, 薬学部, 助教 (80433514)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | N-結合型糖鎖 / GnT-III / 糖転移酵素 / EMT |
Research Abstract |
本研究は、申請者らの新規知見を踏まえ、これまでほとんど知られていない細胞接着・EMTによる糖鎖発現の変化とその意義を重点的に進めるところに最大の特色と独創性がある。これまで、申請者らは、E-カドヘリンを介する細胞間接着により特異的にGnT-IIIが強く誘導され、その結果、インテグリンの機能が低下し、細胞移動が抑制されることを見出している(Iijima, et al. JBC. 281: 13038, 2006;Akama,et al. Proteomics 8: 3221, 2008)。また、興味深いことに、β-カテニン/Wntシグナル経路はGnT-IIIの発現を逆に強く抑制することも分かった(Xu, Q. et al., JBC 286: 4310, 2011)。これらのことから、E-カドヘリンを介した細胞―細胞間の接着が糖鎖変化を通じて細胞―ECM間の接着を制御できる可能性が示唆された。実際、GnT-IIIの強制的な発現は、細胞表面E-カドヘリンのturnoverまたSmad2-β-カテニンの複合体形成を阻害し、TGF-βにより誘導したEMTを強く抑制することが明らかとなった(Xu,Q., et al.JBC 287:16563, 2012)。さらに、最近、上記のような中性糖鎖の変化だけではなく、酸性糖鎖の変化も発見した。今後詳細な分子機構を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者らは、計画当初では、細胞ー細胞間接着やEMTにおいて主にN-結合型糖鎖の変化に注目して研究してきたが、最近、重要な機能を持つ酸性糖鎖が劇的に変化することを見出した。それらの変化は実に多くのがん細胞や組織に報告されたが、分子機構はほとんど不明である。本研究は、糖鎖変化によるがん細胞の浸潤・転移能などの特性を獲得する分子メカニズムを明らかにすることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、細胞ー細胞間と細胞ーECM間接着のクロストークにおける糖鎖の役割を明らかにする一方、糖鎖による細胞増殖・分化、EMT獲得、がん転移・浸潤の制御とその機序を解明することを目標とする。今後、細胞レベルだけではなく、個体でも重点的に進めて行きたい。
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