2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21370060
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
深見 希代子 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40181242)
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Keywords | 表皮 / ヌードマウス / 毛形成 / ヘアケラチン / ホスフォリパーゼC |
Research Abstract |
ホスホリパーゼC(PLC)はイノシトールリン脂質代謝系においてセカンドメッセンジャー産生のトリガーとなる重要な酵素である。我々は、PLCの一つのアイソザイムであるPLCδ1の遺伝子欠損(KO)マウスが顕著な体毛減少を示すことを明らかにしてきた。今年度はヌードマウスの原因遺伝子Foxn1制御下にPLCδ1の発現が毛の形成に重要であるのかどうか、またPLCδ1がどのようなメカニズムを介して毛形成を制御しているのかについて解析を試みた。まず、表皮に発現するFoxn1プロモーターにPLCδ1を連結したトランスジーン(Foxn1 :: PLCδ1)を導入したPLCδ1KOマウス(TG/KOマウス)を作製し、Foxn1プロモーター下流でのPLCδ1の発現がPLCδ1KOマウスの体毛形成異常を回復可能かを調べたところ、TG/KOマウスでは体毛が正常に形成されることが判明した。PLCδ1KOマウスで見られたCyst形成も見られなくなったが、脂腺の拡大は回復しなかった。このことは、表皮でのPLCδ1の発現だけで毛包形成の回復は充分である一方、脂腺の形成には皮膚の間質細胞など別な細胞が必要であることを示している。 次に、PLCδ1がどのようなメカニズムを介し、毛形成を制御しているのかについて解析を進めた。毛の形成に重要であり、Foxn1により発現誘導を受ける因子としてNotchが挙げられる。そこで、PLCδ1の欠損がNotchの発現に与える影響について検討を行ったところ、PLCδ1KOマウスの皮膚において、Notchの発現低下が観察された。以上の結果より、PLCδ1がFoxn1の下流に位置し、毛の形成に必須であることおよび、PLCδ1が毛包におけるNotchの正常な発現に不可欠であることが強く示唆された。
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