2010 Fiscal Year Annual Research Report
グループ2型シャペロニンの構造変化プロセスとフォールディング機構の解明
Project/Area Number |
21370067
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
養王田 正文 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50250105)
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Keywords | シャペロン / シャペロニン / フォールディング / 構造変化 / 古細菌 / ストップトフロー |
Research Abstract |
II型シャペロニン(CPN)は、真核生物の細胞質や古細菌に存在し、タンパク質のフォールディングを介助する。これまでの研究から、II型CPNは2重リング構造を形成しており、Open構造で変性タンパク質を捕捉後、ATP依存的にClosed構造を形成することで、捕捉タンパク質を内部空洞に取り込んでフォールディングを行うことが示されている。本研究では、CPNの空洞内部のループ領域またはHelical protrusionの先端にトリプトファン(Trp)を導入した変異体L56W、L265Wを作製した。いずれの変異体も、ATP依存的にClosed構造をとると疎水的環境に変化することで、Trpの蛍光強度が増加した。様々なATP濃度での変異体の蛍光強度変化を測定し解離定数K_Dを求めることができた。次に、ストップトフローを用いて、CPNのATP依存的な構造変化に伴う蛍光強度変化を、経時的に測定した。その結果、CPNとATPの結合には協同性がなく各サブユニットの構造変化が独立しているというモデルで、ATP結合速度定数、ATP解離速度定数、およびClosed構造への構造変化速度定数を求めることができた。さらに、CPNのClosed構造への変化をもたらさないADPを利用して、Closed構造からOpen構造への構造変化速度定数k_3を求めた。両変異体とも、ATPとの反応後~3秒程度で急激に蛍光強度が増大した後、蛍光は減衰し、~15秒程度で平衡に達した。つまりCPNは、速い構造変化のあと、比較的遅い2段階目の構造変化をすることが示唆された。そこで、X線小角散乱法を利用したストップトフロー解析により、CPNのATP依存的構造変化における構造情報を解析した結果、上述の蛍光変化と類似したタイムコースで2段階の構造変化が観察された。この2段階目の構造変化は、CPNのフォールディング活性が低下するカリウムイオン非存在下では観察されなかったことから、フォールディングに必須であることが示された。加えて本研究では、時分割回折X線追跡法により、Helical protrusion間の相互作用を引き起こす「ねじれ運動」を1分子解析することにも成功した。
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Research Products
(18 results)