2009 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な発光微生物蛍光タンパク質による酸化ストレスの光シグナリング及びイメージング
Project/Area Number |
21370071
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
柄谷 肇 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (10169659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北所 健悟 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60283587)
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Keywords | 生物発光 / 発光バクテリア / 蛍光タンパク質 / 酸化ストレス / 酸素ストレス / 活性酸素種 / 遺伝子組換え / 生細胞イメージング |
Research Abstract |
(1) 発光微生物Aliivibrio fischeri Y1由来レドックス性蛍光タンパク質Y1-YFP及びY1-BFPをコードする遺伝子の安定な大腸菌発現系を構築すると共に、組換え体Y1-YFP及びY1-BFPの大量調製法と精製法を確立した。次にY1-YFP及びY1-BFPコード遺伝子発現系を用いて、種々の酸化ストレスと大腸菌生細胞蛍光挙動との関係を詳しく調べ、次の結果を得た;1)酸化ストレスが惹起される高酸素分圧の条件下、二種類の形質転換大腸菌は共に酸素濃度の増減に応答して蛍光強度の増幅と減衰を繰り返えした;2)呼吸阻害剤の存在下において、一時的な蛍光強度の増大がみられた。他方、酸素消去剤処理により大腸菌から迅速に蛍光能が失われた;3)形質転換大腸菌はFe^<3+>イオンを摂取することによって一時的に迅速に蛍光強度を増大させ、その後時間の経過と共に蛍光強度は変動した;4)特に細胞膜近傍でY1-YFP蛍光の顕著な強度変化が観測された。 (2) Y1-YFPコード遺伝子の酵母発現系を構築した。過酸化水素及或はFe^<3+>イオンで処理した形質転換酵母の蛍光イメージから、酵母生細胞内においてもY1-YFP蛍光は活性酸素種の生成と消滅と関連して変化することを観測した。 (1)及び(2)で得られた結果を総合すると、生細胞の蛍光挙動が呼吸活性と密接に関連していること、細胞内で生成したスーパーオキシドイオン、過酸化水素及びヒドロキシラジカルなどとY1-YFP及びY1-BFPが酸化還元相互作用すること、細胞内における酸化型(蛍光性)と還元型(無蛍光性)との濃度比に依存した蛍光挙動が観測されること、さらに酸化型と還元型の濃度変化が、活性酸素種の種類、量、動態及び細胞内時空分布に依存して起こるものと考えられた。一連の結果は酸化ストレスの光シグナリングとイメージングの研究において重要な結果として評価される。
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Research Products
(6 results)