2010 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な発光微生物蛍光タンパク質による酸化ストレスの光シグナリング及びイメージング
Project/Area Number |
21370071
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
柄谷 肇 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10169659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北所 健悟 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60283587)
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Keywords | 生体生命情報学 / 生物物理 / シグナル伝達 / 酸化ストレス / 蛍光タンパク質 / 生物発光 / 酵母 / 活性酵素種 |
Research Abstract |
(1) 21年度に検討したシャトルベクター系(pYES2/CT)に基づく発光微生物由来蛍光タンパク質(Y1-BFP及びY1-YFP)の酵母(Saccharomyces cerevisiae)発現系に改良を加えた。特にY1-YFPが酵母細胞内の活性酸素種の生成消滅に起因して蛍光挙動を顕著に変化(蛍光性(酸化能が高い活性酸素種の関与時)-無蛍光性間で変化)する好適な機能を有することを確認した。また呼吸阻害剤などの吸収によりY1-YFP蛍光挙動に変動が観測されることから、発現したY1-YFPはミトコンドリア近傍で機能を示すものと期待される。ミトコンドリア近傍で生じる活性酸素種あるいは活性酸素種に起因する酸化ストレスはアポトーシスなど重要な細胞内ネットワークの起点となることから、得られた成果は意義深いものと考えられる。しかしながら、活性酸素種及びこれらと関連する酸化ストレスのより効果的なイメージングを達成するために、高度に安定したY1-BFP及びY1-YFPの酵母発現系の構築の完成が課題として残った。 (2) Y1-BFP及びY1-YFPを発現した大腸菌コロニーを多細胞集団として捉え、蛍光挙動に及ぼす酸素濃度の効果を調べた結果、酸素濃度の増減に対応して、それぞれの系においてコロニーの蛍光強度が顕著に増減することを観測した。得られた結果は酸素負荷に依存して細胞内で生成消滅する活性酸素種あるいは酸化ストレスを細胞集団レベルで観測し得る可能性を示唆するものであり意義深い。 (3) 細胞内酸素の直接検出及び酸素呼吸と関連する酸化ストレスの生物発光イメージングを目指して、微生物ルシフェラーゼ及び反応基質アルデヒドの合成酵素をコードする遺伝子群(lux遺伝子)の構築を試みた。lux遺伝子による大腸菌あるいは酵母の形質転換及び発現系の評価を23年度に行う。
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