2011 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な発光微生物蛍光タンパク質による酸化ストレスの光シグナリング及びイメージング
Project/Area Number |
21370071
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
柄谷 肇 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10169659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北所 健悟 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60283587)
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Keywords | 生体生命情報学 / 生物物理 / シグナル伝達 / 酸化ストレス / 蛍光タンパク質 / 生細胞イメージング / ミトコンドリア / 活性酸素 |
Research Abstract |
発光細菌由来黄色蛍光タンパク質(Y1-YFP)及び青色蛍光タンパク質(Y1-BFP)をコードする遺伝子の真核細胞発現系及び発現蛍光タンパクによるミトコンドリアの動態の蛍光イメージング(FI)法を新規に構築した。 真核細胞として出芽酵母を用いた。発現系の構築には蛍光タンパク質コード遺伝子をクローニングしたpYES2/CTをシャトルベクターとする手法を用いた。さらにミトコンドリアシグナル配列を有するY1-YFPの発現系を構築した。 免疫染色法等により、Y1-YFP黄色蛍光はミトコンドリアで局在的に観測されることを確認した。呼吸阻害剤、脱共役剤、酸化剤、還元剤等による処理を行なった酵母のFIから、Y1-YFP蛍光が、ミトコンドリアの動態(局在性、形状、活性の時間過程)及びミトコンドリアにおける活性酸素種(ROS)の生成消滅を明瞭に反映することを明らかにした。 他方、発現Yl-BFPは液胞以外の細胞空間全体に広く分布して存在すること、また細胞齢が若い細胞など代謝活性が高い状態において明るいY1-BFP蛍光を放射することが分かった。さらに、呼吸阻害時や呼吸鎖においてROSの大量発生を誘発する鉄(III)イオンの摂取によって、Y1-BFP蛍光が顕著に強くなること、及びROSの大量発生の結果、ミトコンドリア近傍において局所的にY1-BFP蛍光が消光されることを見いだした。この特異的な蛍光消光は、ROSの発生後に大量に放出されたサイトクロム(cyt)cとY1-BFPとの相互作用によるものと考えられた。 一連の結果は、Y1-YFP蛍光及びY1-BFP蛍光が、ミトコンドリアの動態の可視化と共に、内因性アポトーシスのトリガーとなるミトコンドリアcytcの可視化に有用であることを強く示唆するものである。これらの研究成果は学術的に意義深いだけでなく、ライフサイエンスに大きく貢献するものと期待される。
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Research Products
(3 results)