2010 Fiscal Year Annual Research Report
高度化した一分子観察法による蛋白質の折り畳みダイナミクスの解明
Project/Area Number |
21370072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30283641)
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Keywords | タンパク質 / フォールディング / 一分子蛍光観察 / 時系列データ / ラインフォーカス共焦点顕微鏡 |
Research Abstract |
本申請研究は、タンパク質の構造と運動の特性を一分子レベルで調べることを目的とする。そのために、平成22年度は、申請者が開発してきた一分子観察技術を高度化させ研究を継続した。まず、ラインフォーカス型の一分子観測装置を開発し、時間分解能を10マイクロ秒にまで短くすることに成功した。また、開発した装置を用いて、変性状態におけるシトクロムcの構造転移運動を観測することに成功した。さらに、蛍光検出の波長を二色化しドナー色素とアクセプター色素のそれぞれが発する蛍光を分解して観測するための改良を行った。具体的には、二色性ミラーを検出器の前に導入し、流路のイメージを二色に分け、二次元検出器にて検出するように改善を行った。また、タンパク質一分子の蛍光をより長時間観測することを目的としたフローストップ法を完成させた。この手法は、タンパク質分子を一分子レベルでフローセルの観測領域まで流した後に試料の流れを止め、試料が消光するまでの長時間にわたって一分子観測を可能にするものである。この実験により、蛍光の時系列データを10ミリ秒程度の事案分解能で数十秒もの長さにわたって長時間観測することが可能になった。この装置を用いて、シトクロムcの変性状態における構造転移を研究したところ、変性状態の中に少なくとも二つの副状態が存在することが明らかになった。このように、高時間分解能を目指したラインフォーカス型の一分子検出装置と、長時間測定をめざしたフローストップ実験という二つの実験技術を確立した。
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Research Products
(4 results)