2009 Fiscal Year Annual Research Report
動原体のストレッチングによる紡錘体形成チェックポイントの制御
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21370082
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
広田 亨 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌研究所実験病理部, 部長 (50421368)
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Keywords | 動原体 / 染色体分配 / 紡錘体形成チェックポイント / 後期促進因子 / 中期後期移行 / 微小管 / 細胞分裂 |
Research Abstract |
安定したゲノムの継承を保証するいくつかの機構の中で、動原体と微小管の結合の不具合に反応して作動する「紡錘体形成チェックポイント」が、染色体分離の最終検問として不可欠な役割を担っていると位置づけられている。私たちは、動原体におけるチェックポイント信号発信の源泉を探る目的で、動原体の動態を生きた細胞で可視化することを試み、その結果、「動原体のストレッチング」と命名した現象を世界に先駆けて報告した(Uchida et aL., 2009 J Cell Biol.)。この研究を通じて、動原体のストレッチングは、紡錘体形成チェックポイントの解除を促進する動原体の運動であることを見出した。引き続き本年度は、ストレッチングの発生APC/Cの活性化の関連性について調べた。APC/Cの活性化がストレッチングによって促進されるならば、ストレッチングしている動原体の数を増やすことによってAPC/Cの活性化の速度が速くなることが予測される-この作業仮説を検証するために、2つの実験を行った。先ずノコダゾールにて微小管を壊してから分裂期を進行させることによって染色体の異数性を導いた。APC/Cの活性化をモニターするために、その基質であるCyclinBの標識細胞を用いた。すると、動原体数の漸増に相関して、APC/Cの活性化が早まった。次に、AuroraBを阻害することによって動原体ストレッチングの頻度が上昇することを見出したので、その際のAPC/Cの活性化の効率を測定した。この実験系においてもストレッチングとAPC/C活性化に正の相関が見られた。これらの結果は、上の作業仮説を支持するとともに、動原体のストレッチングは、チェックポイントというよりは、むしろ細胞を中期から後期へと移行させる駆動力となっている可能性を示唆した。
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Research Products
(8 results)