2009 Fiscal Year Annual Research Report
ALKキナーゼによるがん抑制因子p53のチロシンリン酸化と転写活性化の抑制機構
Project/Area Number |
21370083
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
江成 政人 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 生物学部, 室長 (90294058)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
私達は、以前の研究からクラスリン重鎖(CHC)は核内に存在し、p53を介した転写の活性化因子として機能することを報告した。また、ある種のがんにおいてCHC遺伝子はALKキナーゼ遺伝子座で転座を起こし、その結果として生じるCHC-ALK融合タンパク質がp53の転写活性化能を抑制すること、そして、意外なことに、核内に存在するALKのチロシンキナーゼ活性がその抑制には必要であり、ALKによってp53のチロシン残基がリン酸化されることを見出していた。そのような背景のもと、本研究では、ALKによるp53転写活性化の抑制機構を解明することを目的として、まず、p53のどのチロシン残基がALKによってリン酸化修飾を受けるか質量分析法を用いて調べた。質量分析の結果、p53の327番目のチロシン残基がリン酸化されていることを同定したが、それ以外のチロシン残基がリン酸化されていないと断言はできず、今後更に詳細な解析が必要であると結論付けた。また、ヒトp53には一次構造上9ヵ所のチロシン残基があり、それぞれのチロシン残基をフェニルアラニン残基に様々な組み合わせで置換したp53変異体を作製し、ALKによるp53転写活性化の阻害効果について検討した。その結果、234番目、236番目および327番目のチロシン残基がALKによりリン酸化されるのに必要な残基であること、そして、それらのチロシン残基が、p53転写活性化の阻害に重要であることが判明した。それらの部位に対する特異的な抗リン酸化チロシン抗体を作製したところ、327番目のチロシンリン酸化を認識する良好な抗体は得られたが、234番目、236番目のチロシンリン酸化を認識する抗体はそれ程良好ではなく、再度検討する余地があると思われる。
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Research Products
(6 results)