2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜リン脂質非対称性の変化が制御する細胞機能の解析
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21370085
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 一馬 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (60188290)
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Keywords | 脂質の非対称性 / フリッペース / 細胞内小胞輸送 / クラスリン / AP-1 / 酵母 |
Research Abstract |
真核細胞の細胞膜ではリン脂質の分布が細胞外と細胞内で異なること(リン脂質の非対称性)が知られているが、その生理機能はほとんど解明されていない。本研究では、リン脂質非対称性を形成するリン脂質トランスロケース(フリッペース:Cdc50-Drs2複合体)の細胞機能を中心に、脂質非対称性の変化が細胞内小胞輸送や細胞極性形成に果たす役割の解明を目指している。本年度はフリッペースによる小胞形成機構について以下の研究成果を得ることができた。 私達はこれまでに、F-boxタンパク質Rcy1が、Cdc50-Drs2と共免疫沈降されることを明らかにしている。本年度の研究では、この複合体形成の生理的意義を明らかにすることを試みた。まず、two-hybrid法および生化学的方法を用いて、Rcy1がDrs2(フリッペース触媒サブユニット)の細胞質側C末端領域に結合することを明らかにした。次に、Drs2のこの領域に多数の単一アミノ酸置換を導入し、Rcy1結合能を失った変異体と維持している変異体を得た。興味深い事に、Rcy1との結合能を失ったDrs2変異体は小胞輸送機能を失っており、この結合の重要性が示唆された。更に、Rcy1と結合するタンパク質を検索していたところ、分裂酵母において、Rcy1のホモログであるPof6が出芽酵母Laa1のホモログと結合することが報告されていた。そこで、Rcy1とLaa1の結合を検討し、Rcy1が実際にLaa1と共免疫沈降されることを確認した。Laa1はclathrin adaptorであるAP-1と結合することが示されている。従って、Cdc50-Drs2はRcy1、Laa1を介してAP-1をrecruitし、clathrin-coated vesicleの形成に働いていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)