2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21370088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広野 雅文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (10212177)
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Keywords | 微小管 / 細胞骨格 / クラミドモナス / 基底小体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中心子前駆体を構成するタンパク質を解析することにより、中心子の特徴的な9回対称性構造が構築される分子機構を明らかにすることである。我々は以前に、中心子タンパク質SAS-6がカートホイールという9放射相称形の足場構造の構成タンパク質として、中心子構築に重要な役割を担っていることと明らかにした。今年度は、英国MRCのグループとの共同研究により、SAS-6分子の結晶構造を明らかにすることに成功した。その結果、1)SAS-6は球状の頭部とコイルドコイル構造をとる棒状の尾部からなり、これが二量体を形成して、ちょうどミオシン分子のような形をしていること、2)二量体間で頭部を介して結合し、9放射相称形に会合しうること、3)会合したその形が、カートホイールの中央部分(ハブと呼ばれる)と良く一致すること、などが明らかになった。従って、カートホイールの中央部分は、SAS-6分子が会合することによって構築されるというモデルが考えられた。このモデルが正しいことを検証するため、SAS-6を欠失するクラミドモナス突然変異株bld12にSAS-6を発現させる実験系を用い、以下の点を検討した。1)二量体間の結合部位に変異を導入したSAS-6を発現させても変異形質は回復せず、9回対称性の揺らいだ中心子が形成された。2)尾部の末端にタグを導入したSAS-6を発現させ、カートホイール内におけるタグの位置を免疫電子顕微鏡法で検討したところ、放射状に伸びる9本の繊維(スポークと呼ばれる)の先端に局在した。これらの結果から、SAS-6の会合モデルが正しいことが明らかになった。この成果は、中心子の9回対称性構造の構築機構の理解を飛躍的に進めるものであり、大きな反響を呼んだ。成果はScience誌に掲載された。
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