2009 Fiscal Year Annual Research Report
器官形成におけるNotchシグナルの機能とその分子基盤の統合解析
Project/Area Number |
21370090
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 素行 Nagoya University, 高等研究院, 特任准教授 (20377906)
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Keywords | zebrafish / Notch signal / notochord / neuron |
Research Abstract |
Notchリガンドの器官形成における生理機能解析 1)deltaリガンドの神経発生期における機能:ゼブラフィッシュdeltaA,deltaDの発生期における発現パターンをIn situ hybridization法によって、解析した。両遺伝子とも、神経系においては、神経管脳室帯近辺に発現し、受精後2日目をピークに3日目には、神経管内での発現は、減少し、一部限局するのみであった。タンパク質レベルでも、抗deltaA抗体を用いてdeltaA蛋白の発現を確認したところ、同様の1日目から2日目への発現増加が認められた。このことは、神経形成が2日目をピーク行われることを示唆する。一方、グリア細胞は2日目以降、増加し、神経細胞産生からグリア細胞産生へのスイッチとNotchシグナルとの関係が示唆された。deltaA変異体、deltaD変異体の神経細胞の分化異常を各変異体で比較したところ、deltaA,deltaDで、ともに神経過剰形成とそれに伴う、神経幹細胞の減少が認められた。さらに、deltaA,deltaD二重変異体を作成し、同様の解析を行ったところ、2重変異体では、それぞれ単独の変異体より重篤な表現型が認められた。このことより、神経幹細胞の維持に、deltaAとdeltaDが協調的に働くことが示唆された。2)Jaggedリガンドの脊索形成における機能:ゼブラフィッシュjaggea1a,jagged1bの機能阻害では、脊椎骨の形成以前に中軸構造を維持する脊索を構成する液胞細胞が増加する。さらに解析を進めたところ、脊索細胞の液胞細胞の周りに存在する基底膜が形成不全であること、その構成成分であるコラーゲンタンパク質が減少し、基底膜形成タンパク質に重要な小胞体を含む細胞数が減少することが明らかとなった。このことから、Jaggedが基底膜産生細胞の数を増加させる働きがあると考えられた。
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