2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ中枢神経系形成を制御するシグナルネットワーク
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21370096
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多羽田 哲也 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10183865)
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Keywords | ショウジョウバエ / ラミナ / メダラ / マッシュルームボディ / EGFR |
Research Abstract |
(1)ショウジョウバエのラミナ神経の分化において、視神経の投射により供給されるヘッジホッグによって神経表皮細胞はラミナ神経前駆細胞へ分化し、Sim転写因子を発現するようになる。次に、Simの働きにより前駆細胞が視神経軸索を特異的に認識し、会合することによりラミナカラムを形成する。ラミナカラムは5種のラミナ神経が、将来シナプスを形成することになる1セットの視神経軸索を包むような構造を作ることで形成される単位で、retinotopic mapを形成する基礎となる。SimのターゲットとしてIgGファミリーに属するHibrisを同定した。Hibrisの変異ではSim変異と同様に、前駆細胞と視神経軸索の相互作用が阻害されてラミナカラムが形成されない。視神経軸索側にHibrisと同様な構造を持つRoughestが発現していることを見出した。Roughest変異でも同様にラミナカラム形成が阻害されることからRoughestはHibrisのパートナーであることが強く示唆された。事実、ラミナ前駆細胞におけるHibrisは視神経軸索との接触面に集積しており、Roughest変異によりその集積が見られなくなることから、両者は直接コンプレックスを作っていると考えられる。 (2)メダラ神経形成において、神経表皮の近位から遠位へ向かい、proneural waveが進行し、proneural遺伝子|(1)scの一過性の発現を誘導し、それがメダラ神経芽細胞の分化を誘導する。proneural waveを進行させる分子実体を捜している過程でEGFシグナルを同定した。このシグナルの主たるリガンドSpitzは神経上皮全体で発現している。Spitzは不活性な前駆体として発現し、Rhomboidによる切断を受けて活性のあるリガンドとなる。Rhomboidはproneural waveで発現していること、このRhomboidの発現はEGFシグナルに依存していることがわかった。Proneural waveではRhomboidが発現し、そこでSpitzを活性化する。活性型Spitzは分泌され隣の上皮細胞にシグナルを送るとそれは|(1)scを発現し、神経芽細胞となる。同時に、Rhomboidの発現も誘導するので、EGFシグナルの連鎖が起こりproneural waveが進行していくことを明らかにした。
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Research Products
(16 results)