2012 Fiscal Year Annual Research Report
Gcm遺伝子と血中カルシウム濃度調節器官の獲得に関する環境進化発生学的研究
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21370098
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
岡部 正隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10300716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 三郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (10186934)
三宅 力 慶應義塾大学, 理工学研究科, 教授 (20529763)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 解剖学 / 生理学 / 遺伝子 / ゲノム / 進化 |
Research Abstract |
ポリプテルスのゲノム解析から、四肢動物にまで保存されるGcm1及びGcm2シンテニーブロックの存在が明らかになった。Gcm2シンテニーブロックでは各遺伝子が四肢動物と同じ配置で保存されていた。Gcm1シンテニーブロックには四肢動物同様にIck, Fbxo9, Elovl5 遺伝子が存在したが、そこにGcm1遺伝子自体の痕跡は全くなかった。肉鰭魚類シーラカンスのゲノムにはGcm1, Gcm2遺伝子が存在することがわかった。軟骨魚類ゾウギンザメのゲノムからは現在のところGcm2遺伝子しか見いだせない。ナメウジウオおよびヤツメウナギでGcm2に相当する遺伝子の存在が判明した。以上のことから、Gcm2は脊椎動物の起源から存在すること、Gcm1は肉鰭類で新たに進化したものである可能性はあるものの、 ポリプテルスのGcm1シンテニーブロックにはGcm1は存在しないものの、lck, Fbxo9, Elovl5 遺伝子が存在するため、Gcm1が脊椎動物の進化の過程でいつ機能し失われたのかに関してはさらなる解析が必要である。 ポリプテルスの外鰓の形成に関して、神経胚期の「神経褶」の舌骨弓領域とその腹側下方の「表皮外胚葉」の領域を外科的に除去し解析した。その結果、「表皮外胚葉」の領域を除去した場合のみ外鰓芽が形成されなかった。この「表皮外胚葉」の領域を切り取り異所的に移植すると、舌骨弓領域の「表皮外胚葉」に移植した場合のみ余剰の外鰓が形成された。さらに、内部構造を経時的に調べると、神経胚期になると外鰓形成領域の内胚葉が外側へと肥厚し膨出し外鰓芽へと入り込んでいくことが明らかになった。以上の結果から、「表皮外胚葉」の領域からのシグナルによって「内胚葉」が肥厚膨出し外鰓芽形成が誘導され、その後「神経褶」から分化した神経堤細胞とともに外鰓が形成されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画の一部を成す遺伝子組換えマウスを用いた解析が遅れている。当初計画していた複雑な遺伝子改変ベクターに関して共同開発者からの助言を受け、より系統樹立後の実験効率が良好になるであろう単純な遺伝子改変ベクターに設計を変更した。その後、ベクター構築上の遺伝子工学の技術的トラブル、当該ES細胞クローン選択における技術的トラブル、さらに作成された遺伝子改変マウスの妊性の低さから生じた遺伝子改変マウスの系統化に関する時間の遅延が生じたため、遺伝子改変マウスを用いた実験の部分がこれまでの4年間の研究計画の中で全体的に遅れが生じている。本研究計画全体としては魚類を使った研究計画に関しては順調に成果をあげているため、やや遅れていると自己点検を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れている遺伝子改変マウスに関する研究に関しては、野生型マウスを用いたパイロット実験を十分に行うことによって効率良く成果をあげていきたい。次世代シーケンサーを用いたChip-Seqに関しても野生型マウスを用いて条件を整えている。ポリプテルスのゲノムシーケンシングを行っているが、これまでのところ、ゼブラフィッシュなどの真骨魚ゲノムよりも遥かに四肢動物ゲノムとの保存性が高いことがわかりつつあり、水中から陸上という環境変化に対してGcm遺伝子とその関連器官がどのように進化してきたかに関して、ポリプテルスの情報を用いて解析していく予定である。
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Research Products
(7 results)