2009 Fiscal Year Annual Research Report
後口動物における新規形態進化の背景にある分子進化に関する研究
Project/Area Number |
21370105
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
和田 洋 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (60303806)
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Keywords | 軟骨 / ナメクジウオ / ドメインシャッフリング / プルテウス / 棘皮動物 / ウニ / ヒトデ / ホヤ |
Research Abstract |
ナメクジウオの外鬚の再生過程における遺伝子発現の解析から、外鬚の軟骨様組織の再生過程で、脊椎動物の軟骨形成に関わっている遺伝子が発現しており、ナメクジウオの外鬚における軟骨様組織と脊椎動物の軟骨が共通の起源から生まれてきたものであることを示唆する成果を得た。すでに発表したドメインシャッフリングで獲得されたアグレカンなどが脊椎動物の軟骨の進化に必須の役割を果たしているという知見と、この成果を合わせて考えると、脊椎動物の軟骨は脊索動物の祖先ですでに獲得されていたコラーゲンを基質とした軟骨様組織が、アグレカンなどの新しい基質を取り込むことで、ユニークな衝撃吸収組織としての機能を獲得していったことが明らかになった。 さらに、棘皮動物のプルテウス幼生の進化に関しても、ウニで幼生骨片を獲得することに結びついた転写因子の発現の変化を突き止めることができた。この転写因子はヒトデやナマコでは成体の骨片の形成にのみ関わっているが、ウニとクモヒトデで幼生期に新たに発現を獲得したことで、幼生に骨片が形成され、プルテウス型へと進化したことがわかってきた。この成果を受けて、ヒトデにおいて実験的に幼生骨片を形成させることを試みる実験が可能になった。 また、ホヤと脊椎動物の共通祖先でドメインシャッフリングによって新しく獲得された遺伝子の解析から、脊椎動物の血管内皮細胞の起源となった構造がホヤにも見られることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(15 results)