2010 Fiscal Year Annual Research Report
後口動物における新規形態進化の背景にある分子進化に関する研究
Project/Area Number |
21370105
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
和田 洋 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (60303806)
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Keywords | リンクドメイン / 進化 / 軟骨 / 脊椎動物 / 棘皮動物 / 幼生骨片 / ウニ / ヒトデ |
Research Abstract |
軟骨の主要な基質であるアグレカンの進化に関して、その機能の鍵となるリンクドメインの進化を解明した。脊椎動物はリンクドメインをアグレカンのようなレクチカンと総称される分子群と、CD44に代表されるリンパ球の細胞表面に発現する分子にもつ。軟骨をもたないホヤやナメクジウオでは、リンクドメインは後者のグループにのみ見られる。また、リンクドメインが相互作用をするヒアルロン酸は、ホヤには見られない。そこで、ホヤのリンクドメインがどのような糖鎖を認識するのか、調べてみたところ、ヘパリンと相互作用することがわかった。以上の結果から、無脊椎動物のもつリンクドメインはヘパリンを認識し、血球表面タンパク質のドメインとして機能していた。それが、ドメインシャッフリングによって、レクチカン分子にもたらされ、さらに結合特異性をヘパリンからヒアルロン酸に変換したことで、軟骨の基質としての機能を獲得したという歴史が明らかになった。 また、棘皮動物の幼生進化に関して、幼生骨片の形成に重要な役割を持つEts転写因子に、機能的な進化がおき、幼生骨片が獲得されたという可能性について検証した。ヒトデのEts遺伝子をウニで過剰発現させて、ウニのEtsと同様の間充織の誘導と、骨片マトリックスタンパク質の発現を誘導できるか調べてみたところ、ヒトデのEtsも同様の活性を示した。以上の結果から、Etsと相互作用して、間充織化などの機能と骨片形成に関わる機能とのスイッチを行うような共因子が幼生骨片の進化に重要であったことが考えられた。
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Research Products
(4 results)