2011 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類チトクロームP450遺伝子群の多型・発現・バースアンドデス
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21370106
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
颯田 葉子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (20222010)
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Keywords | 環境 / 遺伝子 / ゲノム / 進化 / 人類学 / 多重遺伝子族 / 遺伝子変換 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の3点にまとめることができる。 1)ヒトゲノムにある115のCYP遺伝子について:ヒトでは、115のCYP遺伝子の内、57の機能的な遺伝子と58の偽遺伝子がある。他の霊長類での偽遺伝子化も含めて、網羅的にオーソログの存在を調べた。まず58の偽遺伝子のなかでは、およそ半数が単一エクソンなど、遺伝子の断片化による偽遺伝子であることがわかった。残りの偽遺伝子については、チンパンジー、オラウータンアカゲザル、マーモセットのゲノムから、それぞれのオーソログを単離し、偽遺伝子かの原因となった突然変異を同定している。また、同時に、57の機能遺伝子についても、オーオログの同定を行っている。これまで、あらたに、ヒト特異的偽遺伝子と他の霊長類特異的偽遺伝子をそれぞれ、同定した。今後は、これらの種特異的遺伝子の偽遺伝子化の時期の推定を行う予定である。 2)ゴリラ、フクロテナガザル、ヒトの肝臓から抽出したRNAを用いて、ヒトの肝臓で発現が顕著な17遺伝子について発現を種間で比較した。種間の差が確認できたのは、CYP3A4とCYP3A7で、いつれも、他の霊長類での発現が高くなっていた。CYP3A4は特に外来物質を基質とすることが知られており、ヒトと他の霊長類での、コーディング領域や発現制御領域にどのような変化が起きているのかを、今後検討していくことを予定している。 3)ヒトCYP2クラスターの進化モード:ヒトCYP2は、第19番染色体上にクラスターとして、存在している。このクラスターは、多くの霊長類で観察されているが、このクラスターを種間で比較すると、その基本構造は、B・G・A・F・Tという五つのサブファミリーのメンバーがおよそ億年前に重複したことに由来する。狭鼻猿類以降は、この祖先型クラスターが重複し現在のクラスターを形成する様になったことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)