2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム多様性を基盤とした霊長類の種内・種間感覚特性の解明
Project/Area Number |
21370109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 啓雄 Kyoto University, 霊長類研究所, 准教授 (60314176)
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Keywords | 苦味受容体 / 天然物 / 受容体 / 霊長類 / ニホンザル / チンパンジー / 遺伝子多型 / ゲノム |
Research Abstract |
京都大学霊長類研究所(14個体)および京都大学野生動物研究センター・チンパンジーサンクチュアリ宇土(約80個体)に飼育中のチンパンジー個体、霊長類研究所に飼育中のニホンザル個体(約580個体)の味覚受容体遺伝子型を網羅的に解析している。40近い遺伝子のうち、20個近くが非同義置換を含む遺伝子多型を示すことを見いだした。そこで、これらの遺伝子多型の受容体機能に対する影響を、培養細胞系を用いて比較検討した。具体的には、T2R16,T2R38,T2R42,T2R43についてHEK293細胞に発現させた受容体にリガンドの候補物質を順次作用させ、細胞内カルシウム濃度の上昇としてイメージング法により検出した。味覚受容体が発現したことは確認できたため、様々な天然リガンドへの応答特性を検討中である。 また、これらの遺伝子産物が舌上の味細胞で発現している量を、ナショナルバイオリソース(GAIN:大型類人猿情報ネットワーク)等で提供された死亡個体を対象としたRT-PCR実験により確認した。試料は舌前方の茸状乳頭を用いた結果、2005年~2007年に死亡・供与され冷凍した状態で保存していた3個体についてほぼ全てのT2Rの発現を確認した。また、ニホンザルの試料については、舌前方の茸状乳頭、後方の有郭乳頭についてリアルタイムPCR法により味細胞中に含まれるmRNA量を計測して遺伝子産物の発現量を確認した。ゲノムレベル、mRNAレベルで遺伝千型と細胞レベルの発現量を決定することができたので、行動実験によりさらに表現型レベルの解析を推進している。
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Research Products
(12 results)