2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア・レトログレード・シグナリングの機構解明と育種的利用
Project/Area Number |
21380009
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
村井 耕二 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (70261097)
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Keywords | コムギ / 細胞質置換系統 / ミトコンドリア・レトログレード・シグナリング / pistillody / 花成 / 稔性回復遺伝子 |
Research Abstract |
ミトコンドリアから発せられ、核遺伝子の発現に影響を及ぼすシグナルは、ミトコンドリア・レトログレード(RTG)・シグナルと呼ばれる。本研究の目的は、細胞質置換コムギ系統で誘発される1)pistillody(雄ずいの雌ずい化)および2)出穂性改変という2つの現象をモデルケースとし、植物(コムギ)におけるRTGシグナリングの分子遺伝機構を解明し、育種的利用の可能性を検証することである。 1)pistillody ミトコンドリア原因遺伝子orf260と核のMADSボックス遺伝子を結ぶRTGシグナリングに関与する遺伝子群を網羅的に同定するため、マイクロアレイ解析を行った。その結果、カルモジュリン結合タンパク質遺伝子、タンパク質キナーゼ遺伝子など、いくつかの遺伝子がpistillody系統の幼穂で特異的に発現上昇することが明らかとなった。また、ORF260タンパク質の機能を解析するため、大腸菌系での発現プラスミドを構築した。一方、pistillodyの育種的利用として、ハイブリッドコムギ品種を開発するため、これまでに育成した優良PCMS(日長感応性細胞質雄性不稔)系統に花粉親を人工交配して得たF1植物の調査を行った。 2)出穂性改変 人工気象器を用いた栽培試験および遺伝子発現解析の結果、細胞質置換系統は細胞質(ミトコンドリア)ゲノムの影響による低温要求性の増大は、VRN1遺伝子発現の抑制によることが、また、純粋早晩性の遅延は、WFT遺伝子発現の抑制によることが明らかとなった。一方、このRTGシグナリングを利用したコムギの出穂性の改変の実用性を検討するため、代表的な日本コムギ品種13品種と細胞質置換系統とを人工交配し、BC1植物を得た。
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Research Products
(7 results)