2010 Fiscal Year Annual Research Report
比較ゲノム情報を駆使したリョクトウ虫害抵抗性の分子機構の解明
Project/Area Number |
21380010
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
石本 政男 独立行政法人農業生物資源研究所, ダイズゲノム研究チーム, チーム長 (20355134)
|
Keywords | 育種学 / ゲノム / 遺伝子 / 植物 |
Research Abstract |
抵抗性準同質遺伝子系統のゲノムDNAから作製した3種類のBACライブラリーを用いて、抵抗性遺伝子座乗領域の両端マーカーからウォーキングを進めた。gBng24マーカー側は35クローンからなるコンティグを、RSEマーカー側は23クローンからなるコンティグを構築できたが、両コンティグ間をつなぐBACクローンを得ることはできなかった。前年度に得た組換え型系統のうち、gBng24マーカー側のコンティグ内で組換えを生じた系統とRSEマーカー側のコンティグ内で組換えを生じた系統を交配し、F1種子の抵抗性を調査したところ、BACクローンが得られていない両コンティグ間のゲノム領域は抵抗性に関与していないことが明らかになった。また、抵抗性にはgBng24マーカー側のコンティグならびにRSEマーカー側のコンティグの両領域が必要であり、両領域内に存在する少なくとも各1個以上の遺伝子が抵抗性に関与しているものと推察された。そこで、両領域の塩基配列を解析するために、コンティグ全体を反映するよう、gBng24マーカー側のコンティグについては10個、RSEマーカー側については8個のBACクローンを選定し、ショットガンシーケンスを行った。RSEマーカー側のコンティグには4箇所のギャップが存在するものの総計491kbの塩基配列が得られた。一方、gBng24マーカー側のコンティグでは総計650kbの配列が得られたもののギャップが多く、連続した長い配列を得ることはできなかった。解読したリョクトウゲノムの塩基配列はダイズのゲノム配列と類似しており、特に遺伝子の配置はリョクトウとダイズでよく保存されていた。一方、抵抗性準同質遺伝子系統のゲノムには、特徴的な重複遺伝子の存在が確認された。今後、抵抗性遺伝子座乗領域の塩基配列の精度を高めるとともに、これらの領域から発現し、感受性系統との間で差異を示す遺伝子を抽出する。そして、これら遺伝子の機能を解析し、虫害抵抗性の発現機作を明らかにする。
|