2011 Fiscal Year Annual Research Report
比較ゲノム情報を駆使したリョクトウ虫害虫抵抗性の分子機構の解明
Project/Area Number |
21380010
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
石本 政男 独立行政法人農業生物資源研究所, ダイズゲノム育種研究ユニット, ユニット長 (20355134)
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Keywords | 育種学 / ゲノム / 抵抗性 / RNA-Seq / 貯蔵害虫 |
Research Abstract |
抵抗性準同質遺伝子系統と感受性品種間の交雑後代から虫害抵抗性に必要な領域の一部を有する組換え型系統を選抜した。さらに、これら感受性を示す組換え型系統間のヘテロ種子のマーカー遺伝子型と虫害抵抗性の解析から、抵抗性に必要な2つの領域の範囲を絞り込んだ。その結果、BACクローンのContigのうちRSEマーカー側のコンティグ(Contig2)の279kbとgBng24マーカー側のコンティグ(Contig3)の413kbの領域内に抵抗性関連遺伝子が座乗することが明らかとなった。この領域の配列には9ヶ所の欠落部が存在した。そこで、染色体歩行により欠落部の配列を解析した。しかし、うち4ヶ所については重複配列が多く、完全に欠落部をつなぐことはできなかった。欠落部はN100で接続し、RNA-Seqの参照配列とした。抵抗性準同質遺伝子系統および感受性品種の登熟中の種子から調製したmRNAを断片化し、これを鋳型として二本鎖cDNAを合成した。このcDNAからライブラリーを作製し、HiSeq2000により高速シーケンス解析を行った。抵抗性系統と感受性品種とも高速シーケンサーによるペアエンド法により1億6千万以上のリード数を得た。これら100bpのペアエンド配列をBowtieにより参照配列上へマッピングした。抵抗性系統の塩基配列を参照配列として使用していることもあってか、抵抗性系統では約15万リードがマッピングされたのに対し、感受性品種では約3000リードがマッピングされた。抵抗性系統と感受性品種ともに共通した領域にマッピングされる配列も存在したが、Contig2とContig3において抵抗性系統でのみ強く発現していると推定される領域を検出した。そこで、該当する領域の塩基配列からプライマーを設計しRT-PCRを行ったところ、登熟中の種子での発現を確認した。Contig2とContig3の領域から抵抗性系統において特異的に発現する2つの遺伝子は構造が非常に類似しており、また、多数の相同配列が両Contig上に分布していた。これらの遺伝子に類似した遺伝子は他の植物からも報告されているが、機能はわかっていない。そこで、これら2つの遺伝子を単独、あるいは同時に感受性リョクトウ品種への導入を試みたが、組換え体を得ることはできなかった。そこで、同じマメ科の種子作物であるダイズとアズキへ導入した。ダイズについてはすでに組換え体を得て、種子の収穫を待っている状態である。
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