2009 Fiscal Year Annual Research Report
C4植物の葉肉葉緑体が環境ストレスに応答して集合運動する分子機構とその生理的意義
Project/Area Number |
21380014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 光隆 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (40231419)
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Keywords | C4植物 / 環境 / ストレス / 光合成 / 葉緑体 / アブシジン酸 / フォトトロピン / 活性酸素 |
Research Abstract |
環境ストレスに応答してC_4植物シコクビエの葉肉(M)葉緑体が維管束鞘細胞側に集合する凝集運動について,以下の点を明らかにした. (1)凝集運動誘起には時間を要する:ABAに応答したM葉緑体挙動の経時変化を詳しく調べた.凝集運動は,白色光(100μmolm^<-2>s^<-1>)照射6~8時間後に確認され,C_3植物葉緑体の逃避運動に比べて誘導には時間がかかることが明らかとなった. (2)活性酸素は関与しない:暗所下でABAとH_2O_2を共存させた場合,M葉緑体の凝集運動は誘導されなかった.また,活性酸素スカベンジャーを共存させても,明所下でのABA依存性凝集運動は阻害されなかった.したがって,活性酸素はM葉緑体の凝集運動を誘導する因子ではないと考えられた. (3)青色光により誘導される:ABAに応答したM葉緑体の凝集運動は赤色光では誘導されず,青色光で誘導され,フォトトロピンの関与が示唆された. (4)青色光に応答した逃避運動システムと,ABAに応答した凝集運動システムが存在する:青色光(100μmolm^<-2>s^<-1>)照射,ABA非存在下ではM葉緑体が光の入射方向と平行な面に移動する逃避運動が見られた.一方,ABA存在下では凝集運動が引き起こされた.したがって,ABAはM葉緑体を逃避運動から凝集運動へと誘導すると考えられた.強青色光(500μmolm^<-2>s^<-1>)照射,ABA非存在下では,片側で逃避運動が,他方で凝集運動が見られた.ABA存在下ではすべてのM葉緑体が凝集運動を示した.したがって,強光照射を受けている側ではABAが生成し,ABA応答性の凝集運動が優位に働くと推察された.
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Research Products
(6 results)