2010 Fiscal Year Annual Research Report
C4植物の葉肉葉緑体が環境ストレスに応答して集合運動する分子機構とその生理的意義
Project/Area Number |
21380014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 光隆 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (40231419)
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Keywords | C4植物 / 環境ストレス / 葉緑体 / 光合成 / 葉緑体運動 / 葉肉細胞 / 乾燥ストレス / 塩ストレス |
Research Abstract |
環境ストレスに応答してC_4植物の葉肉葉緑体が維管束鞘細胞側に集合する凝集運動について,以下の点を明らかにした。 (1) サンプルめ横断切片のデジタル画像から各ピクセル座標を抽出し,維管束鞘細胞からの相対距離を求め,葉肉葉緑体凝集配置の程度を定量化する方法を考案した。 (2) 乾燥ストレスにより,葉肉葉緑体の凝集運動がみられたシコクビエに再び水を与えたところ,約18時間かけて徐々に元の配置に戻っていく様子が観察された。したがって,葉肉葉緑体の凝集運動は,環境ストレスに応答した可逆的な生理応答であると考えられた。根から吸収した水が各々の葉細胞に行きわたり,凝集運動を誘起していたストレスから回復することで,元の葉緑体配置へと戻ったと考えられた。 (3) 塩ストレスに曝すと,NADP-ME型C_4植物では凝集運動よりも逃避運動が顕著に起こった。一方で,NAD-ME型C_4植物では維管束間の葉肉葉緑体が一部逃避運動しているものの,凝集運動が強く現れた。PCK型のギニアグラスでは弱い凝集運動を起こす一方,ローズグラスでは強い凝集運動がみられた。したがって,ストレスに応答した葉肉葉緑体の凝集運動はC_4光合成のサブタイプに関わらず誘導されるが,その程度は植物種によって異なることが明らかとなった。凝集運動の程度を葉構造,供試植物が属する系統グループ,維管束鞘葉緑体のグラナの発達度,維管束鞘細胞からのCO_2の漏出率などと比較したが,明白な関連性は見いだせなかった。
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Research Products
(7 results)