2012 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化によるイネ科多年生雑草チガヤの分布拡大と雑種形成に関する雑草学的研究
Project/Area Number |
21380015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨永 達 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10135551)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | チガヤ / 雑種形成 / 分布拡大 |
Research Abstract |
チガヤは北海道から沖縄県にいたる日本各地に分布している。日本国内に分布するチガヤには、外部形態や生育特性において区別される2型が存在する。このうち、稈の節に毛がある普通型は東北南部から沖縄県の水田畦畔や路傍、芝地、果樹園などに広く生育し、やや侵略的な特性をもっている。稈の節に毛がない早生型は北海道から九州の河川敷などやや湿った生育地に局所的に分布している。チガヤの普通型が日本各地に広く分布するのに対し、早生型の生育地は限られている。温暖化にともないより侵略性の高い普通型の分布域が北上し、さらに、従来から分布している早生型との雑種形成による新たな雑草害が懸念される。昨年度の実験結果から、普通型の生育が認められないかあるいは生育密度が極めて低いと推定される東北北部で葉緑体DNAが普通型である雑種が見つかった。この雑種の起源を明らかにすることは、温暖化にともなうチガヤの分布域の変化を明らかにするために重要である。本年度は、東北南部で採集した普通型個体を中心に、日本の他の地域由来の普通型個体も含めて葉緑体DNAの地域的な変異を検出し、普通型の葉緑体DNAをもつ雑種の起源を明らかにしようとした。供試した各地の普通型個体の葉緑体DNAにおいては明瞭な地域変異を見出すことができず、普通型の葉緑体DNAをもつ雑種の起源を解明するに至らなかった。この雑種の起源については更なる解析が必要である。また、長野県で採集した個体について、生育地の標高の違いによる普通型、早生型および両者の雑種の分布を調査した。長野県においては、従来早生型が分布していたより標高の高い地域に雑種が生育していることを明らかにした。一昨年度における雑種の適応度の評価結果と本年度の結果から、普通型と早生型の雑種のうち、温暖化により両親よりも適応度の高い雑種が分布を拡大している様相を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)