2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼樹開花を用いたカンキツ自家不和合性関連遺伝子の迅速探索とその分子機構
Project/Area Number |
21380027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
若菜 章 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (10158579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 行生 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60253514)
酒井 かおり 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (30403976)
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Keywords | 園芸学 / S対立遺伝子 / 自家不和合性 / 幼樹開花 / ブンタン / クネンボ / カンキツ |
Research Abstract |
カンキツの自家不和合性に関して多数のブンタン品種・個体や雑柑茄種を供試し,S遺伝子がホモの様々なS1実生群を授粉し,不和合反応を調査して不和合性遺伝子型の決定を進めると共に,幼樹開花させた様々な1-2年生交雑種実生群の自家交配を行って自家不和合性の遺伝を調査し,さらに.DNAマーカーを用いて連鎖を調査した.また,クレメンティンの蕾から自家和合花柱(6mm)と自家不和合花柱(8mm)を取り出し,両者から抽出したmRNAのcDNA断片に違いが見られた断片について調査した. グレープフルーツ(GF)を授粉した交雑実生群の幼樹開花を利用した自家不和合性の解析の結果,和合性実生と不和合性実生は河内晩柑×GFで39:37,清見×GFで24:24,インドネシアブンタン2080×GFで8:8,イヨカン×GFで5:10に分離した.その他の多数組合せにおいては幼樹開花した実生の数が10以下と少なかった.この結果から自家和合であるイヨカンや雄性不稔である清見の自家不和合性遺伝子型がヘテロ(SfSn)であることが分かった.河内晩柑×GFから得た和合性実生と不和合性実生を用いた自家不和合性(S)遺伝子に連鎖するRAPDマーカー群の探索の結果,自家和合対立遺伝子(Sf)と連鎖する5マーカーと自家不和合対立遺伝子(Sn)と連鎖するマーカー1つを見いだした. S遺伝子(S3,S4,S5,S11)がホモのクレメンティンとハッサクの自殖実生群を多数の品種群に授粉した結果,12品種(16.4%)がS3を,17品種(24.6%)がS11を,7品種(19.0%)がS4を,4品種(6.8%)がS5を持つことが分かった.特に興味深いのはS4を持つハッサク(S4S5)やウンシュウミカン(SfS4)がクネンボ(S4Sn)雑種として成立したことが示唆された点であった(クネンボが日本在来品種の成立に大きく関与していることが明らかになった).本研究により前年度に加えて数品種のS遺伝子型を確定した. 自家和合花柱(6mm)と自家不和合花柱(8mm)のディファレンシャル発現RNA(cDNA)は安定性が見られず,S遺伝子関連断片の特定には至らなかった.
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Research Products
(6 results)