2011 Fiscal Year Annual Research Report
トマトモザイクウイルスのRNA複製複合体形成機構の解析
Project/Area Number |
21380033
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
石川 雅之 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, ユニット長 (70192482)
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Keywords | ウイルス / 植物 / RNA / 複製 |
Research Abstract |
昨年度までに、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいてToMVの複製タンパク質をTOM1と共発現すると複製タンパク質の膜への結合が促進され、TOM1およびARL8と共発現すると複製タンパク質のRNAキャッピング能が活性化されることを見いだした。トバモウイルスRNAの複製における子孫RNAのキャッピングは、(1)子孫RNA5'末端3リン酸のガンマ位リン酸基の除去、(2)複製タンパク質のGMP化、(3)複製タンパク質に共有結合したGMP残基の子孫RNA5'2リン酸への転移を経て起こる。本年度は、TOM1あるいはARL8の有無と各ステップの進行の可否の関係を明らかにするために、複製タンパク質のGMP化および5'2リン酸末端をもつRNAへのキャップ付加能を調べた。その結果、両活性とも、TOM1とARL8が共発現したときに限って検出されることが明らかになった。この研究の過程で、グアニリル化を受ける複製タンパク質が、ジスルフィド結合を介して形成された、膜結合性の巨大な複合体に含まれることを見いだした。さらに、複製タンパク質のジスルフィド結合が、ToMVのRNA複製に重要であることを示唆する結果を得た。また、TOM1が複製タンパク質の膜への結合を促進するという出芽酵母における結果を、植物の系で確認することを試みた。生体膜を除去した脱液胞化タバコBY-2プロトプラスト抽出液でToMV RNAを翻訳し、TOM1あるいはARL8遺伝子が欠損したシロイヌナズナあるいは野生型シロイヌナズナ培養細胞から得た生体膜を添加し、遠心分画により膜に結合した複製タンパク質の量を評価したが、宿主因子の有無による複製タンパク質の膜結合性の有意な差は見られなかった。
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