2011 Fiscal Year Annual Research Report
カイコの繭を彩るカロテノイドの搬送システムの分子機構解明と応用
Project/Area Number |
21380045
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
土田 耕三 国立感染症研究所, 放射能管理室, 室長 (40231435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 公子 農業生物資源研究所, 昆虫ゲノム, ユニット長 (40370689)
瀬筒 秀樹 農業生物資源研究所, 遺伝子組み換えカイコ研究センター, 研究員 (70342805)
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Keywords | カイコ / 選択的取り込み / カロテノイド / トランスジェニックカイコ / ルテイン / β-カロテン / リポホリン / SR-BI |
Research Abstract |
F遺伝子についてポジショナルクローニングを行い、第6番染色体の499kbの範囲まで絞り込み、その範囲には26個の遺伝子が予測された。その中にCameo2のパラログであるScavenger receptor class B member 15(SCRB15)が存在した。SCRB15は、+^F系統の遺伝子において、Fと同じmRNAは作られなくなっていた。このことから、SCRB15は、F遺伝子の有力な候補遺伝子と考えられた。そこで、F遺伝子が、SCRB15をコードしていることを機能的に実証することを目的とし、中部絹糸腺にSCRB15をトランスジェニックの手法で強制発現させ、中部絹糸腺へのカロテノイドの取り込み量の変化を観察した。Cameo2配列を持つトランスジェニック系統とSCRB15配列を持つトランスジェニック系統をそれぞれ作出し絹糸腺を観察したところ、カロテノイドを取り込まない元系統に比べて、Cameo2を強制発現させた個体、SCRB15を強制発現させた個体では、カロテノイドの取り込みにより絹糸腺が着色しているのが観察された。このカイコの中部絹糸腺からカロテノイドを抽出し、逆相カラムを用いたHPLCで分析したところ、SCRB15を強制発現させた場合はF遺伝子を持つ場合と同様にβカロテンが中部絹糸腺に選択的に取り込まれていることが分かった。 本研究によって、基礎学術上では、カロテノイドの細胞内取り込みに選択性があらわれる機構が、リポタンパク質のレセプターであるCameo2とSCRB15によって規定される機構を解明した。カロテノイドの生体内搬送システムの研究は、他にほとんどなく、本研究は、カロテノイド搬送研究の基盤を構築し研究を先導し、加齢黄斑変性症で注目されている黄斑へのカロテノイド集積する機構は本研究を参考にして行われた。医学上からも、本研究は注目を集めカロテノイドの搬送研究の先導役を務めている。蚕糸業上からも、本研究はカイコが吐く絹の色を自在に変える技術の開発にも繋がり、化学染色による環境汚染の無い環境保全型の繊維産業を生み出す可能性を持った研究となった。
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[Presentation] Development of transgenic silkworms for functional genomics in Bombyx mori as a lepidopteran model insect 5th Annual Arthropod Genomics Symposium2011
Author(s)
Sezutsu H, Tsubota T, Uchino K, Kobayashi I, Osanai-Futahashi M, Suzuki T, Tatematsu KI, Iizuka T, Yonemura N, Tamura T
Organizer
5th Annual Arthropod Genomics Symposium
Place of Presentation
Kansas, USA
Year and Date
20110709-20110712
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