2009 Fiscal Year Annual Research Report
水田土壌中におけるバクテリオファージの役割とその遺伝子多様性・新奇性
Project/Area Number |
21380046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 眞人 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20092190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村瀬 潤 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 講師 (30285241)
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Keywords | ファージ / 細菌 / 感染率 / ^<13>C標識カルス / 安定同位体標識法(SIP) / 変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE) / ウイルス / カプシド遺伝子g23 |
Research Abstract |
細菌へのファージの感染状態を電子顕微鏡(TEM)で観察するための染色条件を大学構内の池の水を供試して決定した。次いで、愛知県安城農業技術水センター内の水田圃場より土壌(細粒質土壌)を採集し、0.3MHFにより鉄やAlの酸化物を溶解後TEMを行ったが、細菌表面の粘土粒子が十分溶解されておらず、満足な観察ができなかった。そこで、ニュージーランドの砂質土壌を用いて観察した結果、細菌への感染率は12%から48%と極めて高い割合であった。本結果より、ファージの感染が土壌中の細菌群集構造を支配する1要因と判断された。 ^<13>Cグルコースを基質として水稲の^<13>C標識カルスを作成し、愛知県安城農業技術水センターより採集した土壌に直ちに添加するとともに、乾燥後(植物遺体を想定)土壌に添加した。8週間の培養期間中に数回土壌を採集してDNAを抽出し、安定同位体標識法(SIP)により、16SrDNAのPCR産物を指標に^<13>Cで標識されたDNAを分画した。現在、^<13>Cで標識されたDNAの真正細菌群集を解析中であり、その後、ファージ群集の解明を予定している。 西アフリカブルキナファソ3地域の水田土壌計13点を供試し、土壌DNAを抽出後、プライマーを用いてT4型ファージのカプシド遺伝子g23をPCR増幅してその塩基配列を決定し、海洋や日本・中国の水田土壌から得られたg23遺伝子の塩基配列と比較した結果、いずれの塩基配列も海洋から得られたg23遺伝子の塩基配列と異なるとともに、日本・中国の水田土壌から得られたg23遺伝子の塩基配列と大きく異なる配列が多く認められたことより、世界的な水田土壌中のg23遺伝子の多様性はこれまで考えられていた以上に高いことが推察された。加えて、ブルキナファソから得られたg23遺伝子間の相違は、日本や中国から得られたg23遺伝子との相違と、同程度に大きいことも明らかとなった。
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Research Products
(6 results)